今月最後の本はナンシー・スプリンガーさんの「炎の天使」。METAL ANGEL。
堕天使が地上でロックンロールする話です。天使なので羽が生えているのですが、そのまま生活していることに殆どの人が疑問を抱かないというのが面白いです。ロックスターだから羽もあるだろ、みたいな。もちろん作り物だと思われているわけですが。
天使の名前はヴォロス。この天使とシンクロしている女性が出てきます。名前はアンジェラ。こっちの方が真の天使みたいな感じですが、アンジーの父親の牧師、ダニエルにいわせれば、アンジェラがロックを聴くのが許せません。ロックは悪魔の音楽なのです。
アンジェラが書いた歌詞は、なぜかヴォロスに伝わります。ヴォロスはその歌詞に歌を付けて歌うので、自分の歌詞がラジオから流れてくるのを聴いてアンジェラがビックリするわけです。アンジェラは家出して、ヴォロスの元まで行って、勝手に歌詞を使いやがってと怒ります。
この、人でなし!
(p.168)
ま、堕天使ですからね。人ではありません。ちなみにアンジェラは本気を出せば死の天使を召喚できたりするので、よほど人間離れしていますが。
てな感じでこの作品はロックなファンタジーです。代表作の「アイルの書」とかのイメージで読み始めるとダークでリアルな世界にビックリします。ということで今日のハッとした一言。
物事はふつう、よくなる前に悪くなる
(p.232)
炎の天使
ナンシー スプリンガー 著
Nancy Springer 原著
梶元 靖子翻訳
ハヤカワ文庫FT
ISBN: 978-4150202316