Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

学校制服とは何か その歴史と思想

今日紹介する本は「学校制服とは何か」。何かと言われても…と思うかもしれないが、私もそう思った。

ズバリ何かというと、

制服は生徒を支配 管理する道具
(p.102)

という見方である。ここから派生して、制服廃止は自由の象徴となっていく。

1960年代後半から70年代前半にかけて全国的に高校闘争が起こり、その過程で生徒たちは制服自由化を求めたのである。
(p.103)

ところが、2000年頃から、私服高校が制服を採用するという事例が増えてきたのだ。1970年代に制服を廃止した朱雀高校が制服を採用した理由として、

自由には責任が伴うことをよく自覚していた1970年代の生徒とは異なり、何でも許される勝手気ままを自由と取り違える生徒に対しては、自由服のままでは改革が進まない
(p.176)

ということで2019年度から制服が再開されたのである。

今の日本の制服にはサブカルチャー的側面もある。なんちゃって制服という概念が生まれ、アニメの制服に憧れた外国人がコスプレをして踊る時代である。制服イコール管理の象徴、というイメージは弱まっている。サブカルまで話を発展させなくても、制服に憧れて学校を選ぶという話は昔からあるし、それを狙って可愛いデザインの制服に変更する、といった学校もあるようだ。このあたりの話は第5章の「制服を作る側の戦略」に出てくる。

一点だけ「?」と思ったところを指摘しておくと、制服は不便だったという話だ。

詰襟を着たまま小走りするだけでも息が苦しくなる。
(p.238)

中学・高校の6年間、詰襟を着ていたが、そんな経験は記憶にない。カラーのサイズが合ってなかったのではないだろうか。だとしても、苦しかったらホックを外せば済む話だ。

 

学校制服とは何か その歴史と思想
小林 哲夫 著
朝日新書
ISBN: 978-4022950901