Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

天冥の標VII 新世界ハーブC

今日は天冥の標、Ⅶ。「新世界ハーブC」。

前の章でシェパード号が墜落回避に失敗。結局、惑星セレスに墜落します。乗員が全員死亡したら話が続かないので、何とか生きています。

その後、セレスの地下でアイネイアとミゲラは仲間と合流しますが、冥王班を逃れてそこに避難していたのは、

「男が二四九〇五名、女が二七三三九名。――うち、成人が一〇二九名だ」
(p.57)

未成年、子供の人数が圧倒的に多いのです。この5万人が10の区画で避難生活を始めると、予想通りに予期せぬ出来事が発生しまくります。七区の暴力集団が六区に侵入しているのを鎮圧しに行ったときに、アイネイアが連れて行ったロボットは七区の少年少女を簡単に殺してしまいます。それがミスで済んでしまうような世界観があります。

ごたごたの後に落盤があったり、子供が増えたり、民主的な機構ができたりで、セレスは何とか生き延びて、メニー・メニー・シープは発展していきます。

アニメだと超強い人が独裁的に統治する一方で反社会的勢力とか闇の団体が世界征服を試みるパターンが出てくるところですが、セレスの環境はそれよりも過酷で、より協力しないと全滅してしまうレベルのようです。このあたりは、何となく日本の歴史を見ているようで、和風なSFという感じもします。


天冥の標VII 新世界ハーブC
小川 一水 著
富安健一郎 イラスト
ハヤカワ文庫JA
ISBN: 978-4150311391