Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

天冥の標Ⅴ: 羊と猿と百掬の銀河

今日は天冥の標、Ⅴ。「羊と猿と百掬の銀河」。何でこのタイトルなのかサッパリ分かりませんが、気にしない。

この巻はややこしいです。2つのシナリオが並行しています。一つは貧乏農夫タックと娘ザリーカの話。もう一つはノルルスカインの話。ストーリーの感想とか書くと発狂しそうなのでヤメます。基本的にはアクションかな。

ん、ノルルスカインって何だっけ?

というのが説明困難です。というのは流石に無責任なのでサクっと紹介しておくと、サンゴ虫から進化した知性体です。なにそれ。ていうかⅠに出てきた時点では宇宙船をコントロールしているAIっぽい感じでしたが、実はコレ、

ノルルスカインは勝手にできた。
(p.33)

自然発生した人工知能【謎】なのです。だから AIというよりNI (natural intelligence)ですね。ノルルスカインは自分が生れたときのことを覚えていません。

物心ついていないときのことは、なにしろ物心ついていないのだから覚えていない。
(p.32)

ま、そりゃそうですね。自然発生して進化した知能ということで、

ノルルスカインが「お?」と思ってから五億三九九〇万年がすぎたころ、サンゴ虫たちが我ありと言い始めた。
(p.44)

スケールがやたらデカい。サンゴがどうやってコミュニケーションする方法を実現するとか、なかなか興味深い仕組みになっています。情報処理に興味がある方は読んでみてください。

さて、ザリーカが町に行ったときに不愉快(誹謗中傷的)なことを言われるのですが、タックはそのことを聞いて、気にするなと言います。

ああいう手合いは自分の頭で考えることができなくて、人から吹き込まれた嘘を真に受けてるんだ。
(p.145)

ネットにもたくさんいますね、そういう手合い。

この巻で気になるキャラは、タックの農場で世話になるアニー・ロングイヤーという女性。エルフではありません。オーストラリア出身の地球人です。研究者です。行動が研究者っぽくてズレている所が面白いです。


天冥の標Ⅴ: 羊と猿と百掬の銀河
小川 一水 著
ハヤカワ文庫JA
ISBN: 978-4150310509