今日は新書で、「数学する精神」。
細かい話ではなく、ざっくりした「数学とは何ぞや」系のお話が著名な数学者と並んで出てきます。
第2章の「ウサギとカメ」は「アキレスとカメ」のパラドックスの話。このパラドックスは有名ですが、同じ章に出てくるの垂直二等分線の作図の話は興味深い。
例えば線分ABの距離を1として、左で書いた2つの円の半径も1とすると、二つの交点は線分ABからの距離が√3/2 のところにある。これは有理数ではないから、有理数しか知らない人にとってはそんな点が存在するとは言えない!
(p.45)
その視点は思い付きませんでした。
第5章の
「0個のものから0個を選ぶ」選び方は何通りあるか?
(p.149)
というのが禅問答に似ているという話も面白いです。
第8章では、等比級数の和の公式から導き出した、
...999999999 = -1
(p.217)
という一見謎の等式が紹介されています。...のところは無限に9が続いているというのですが、無限に大きいと思われる数が -1 と等しいというのはどうなの、という違和感を指摘しているのでしょう。
ちなみに、プログラマーの感覚でいえば全てのビットが1の整数が-1になるというのは違和感がない、というかむしろ当たり前だったりするから不思議なものです。
数学する精神 増補版-正しさの創造、美しさの発見
加藤 文元 著
中公新書
ISBN: 978-4121919120