Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

劇場版 幼女戦記

今日は「幼女戦記」の劇場版を観ました。ストーリーとしてはTVアニメの続きになっています。戦況は泥沼の世界大戦に突入しつつあります。

劇場版で注目すべきキャラは合衆国からの義勇兵として参戦しているメアリー。父親が帝国軍との戦いで戦死したので、猛烈な復讐心を持っています。メアリーは主人公のターニャを超える魔力を持っていますが、上官には「無能な働き者」と酷評されます。コントロールできない力を持っているというのは確かに厄介なものです。

ターニャとの最初の空戦では、ターニャが投げた短機関銃がメアリーの腹に直撃して落下します。メアリーはこの時に、銃に刻まれたイニシャルを見て、それが父に贈った銃であることを知り、ターニャが仇であることも認識するのです。

このストーリーはターニャが豊富な経験と知識で最適戦略を選択し、予想をことごとく的中させるにも関わらず、結果が想定外、「どうしてこうなった~」と叫ぶシーンが満載なのですが、ターニャの生きている世界を操っている存在Xが悪魔のようなものなので、想定していない結果になるのはむしろ必然。そもそもターニャが転生した理由が、苦境を与えて信仰心を持たせるというものなので、楽に生きるという方向を向いているターニャの想定外になるのは当たり前の結末に過ぎません。

メインテーマはもちろん戦争のはずですが、自由のために戦争するという現代社会の抱えている矛盾がそのまま反映されています。政治家と軍部との軋轢、情報操作されて踊らされる無能な民衆、すべてリアルと同じ構図です。その中で最も武力行使するターニャも戦争を単なる手段とみなしつつ目的であるかのような戦いっぷりを見せています。戦場に立てば殺さないと殺されますから、そこに逃げ場はありません。なぜそのような状況になったか、盲目的に戦争を「してはいけないコト」のような評価をするのではなく、なぜ戦争を「しなければならない」のか、そこに視点を持って観るべきアニメではないかと思います。