私は基本的にリーダーよりは裏で暗躍する策士を好むタイプなのですが、ちなみに戦国武将でイチオシは誰かといわれたら、島左近なんですよね。で、今日はそっちじゃなくて、中国。岩波文庫から「諸葛孔明」です。
「今でしょ!」の林先生が「自分が一番近い」と言っている諸葛孔明をメインに、関わる人達の逸話が紹介されています。例えば孔明といえば三顧の礼が有名ですが、魏略という史書を紹介し、
これによれば、劉備と孔明との出会いは「三顧の礼」のときではなく、孔明が自ら劉備を樊城に訪ねたときに始まることになる。
(p.68)
という、これも有名な説が紹介されています。三顧の礼は、わざわざ訪問してきたのに相手にしないとか、礼というより無礼な話のような気もしますが、そもそもソレがなかったというのは逆にリアルな話です。
曹操軍の将士がみな陣の前に出て見物するうち、二里(約八〇〇メートル)あまりに迫ったところで、先頭を切って進む船が一斉に火を吹き、激しい風にあおられて燃え上がりながら、矢のように曹操軍の船団に突入した。
(p.102)
策略で曹操軍の船を繋いでおいたとか、諸説ありますが、
周瑜の水軍が長江を遡って赤壁に至ったとき、曹操の軍勢には既に疫病が流行していた。
(p.101)
圧倒的な兵力の曹操軍が陣取った場所、当時の赤壁は疫病の宝庫だったそうです。一説では戦死した死体が流れ着いて溜まっていたのではないかかと。現代のような科学が進歩した時代ですらこのていたらくですから、約二千年前の疫病ともなると、しかも戦争の最中で三密どころではなく、それはもう大惨事だったことでしょう。