Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

菜根譚 (14)

今日は菜根譚から、「正義を犯さず、権門に近づかず」。

公平正論不可犯手。一犯則貽羞万世。権門私竇不可着脚。一着則点汚終身。
(p.151)

リズムよく読めそうだが、これは怖い戒めだ。「犯手」は

手出しをして反対する。
(p.151)

正しいことに対して反対したら、羞(はじ)を万世に残す。たった一度の失敗もダメなのだ。今のようなネットが普及した時代だと、偽情報に乗せられてうっかりやらかしてしまいそうなものだ。しかしただ一度の失敗も許されないというのは厳しい。

後半の「権門私竇」(けんもんしそう)は、

竇は穴ぐら。巣窟の意。権勢を得て今をときめく家や、私利私欲に奔走する人々の集まる場所。
(p.151)

何か私には想像もできないような場所だが、世の中にはそのようなサロンのような、俗世間の市民には踏み入れることのできない世界があるのだろう。しかし、そこに一歩でも入ってしまうと、「汚終身」、その汚れは一生落ちないという。

そこまで言われると、既に知らないうちに一歩踏み入れたことがあって、汚れているような気がしないでもない。


菜根譚
講談社学術文庫
中村 璋八 翻訳
石川 力山 翻訳
ISBN: 978-4061587427