Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

菜根譚 (2)

今日も菜根譚から紹介する。実は今日紹介したいものは他にあったのだが、それがどれなのか分からなくなってしまったので再度選択し直したという、無様な状況なのであるが、それはそうとして。

欹器以満覆、撲満以空全。故君子、寧居無不居有、寧処欠不処完。
(p.100)

タイトルとして「満ちれば欠ける道理」とある。欹器というのは、

空のときは傾き、水を半分入れると正しく立ち、水を満たすと倒れる
(p.100)

訓戒とするための道具だという。何でそういうややこしいものを作ったのか分からん。そのような容器があれば慢心しないのかというと、そんなことはないような気もするし。この本には孔子の言葉も書いてあるが、奥が深いようで何か馬鹿馬鹿しい気もするから省略する。

要するに、何にせよ full にしてしまったら不都合だぞ、という単純な話なのだ。コップに満杯に水を入れてしまうとこぼさずに飲むのが難しくなる。昨日も詰め替え用の洗剤を容器に入れたらうっかり満杯にしてしまい、ちょっと困った。完璧という言葉もあるのだが、完全になってしまうことで問題が発生することも多々あるのだ。disk を全部使いきったら何もできなくなったりするのだ。

それにしても、たかが器の話に「だから君子は」と続けるのはちょっと飛躍しすぎているような気もするが、「欹器」というモノを持ち出してくる感じがちょっと面白いとも思うので紹介してみた。いずれにしても、ほどほどが良いというのは真理なのである。

(続く)

 

菜根譚
講談社学術文庫
中村 璋八 翻訳
石川 力山 翻訳
ISBN: 978-4061587427