Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

掟上今日子の旅行記

今日は忘却探偵シリーズから「掟上今日子の旅行記」。ガリバー旅行記みたいな?

と思いましたが全然違いました。今回の舞台はフランス。エッフェル塔を盗むという予告状に掟上さんが挑むというお話です。てなわけでフランス出張です。それにしても寝たら忘れてしまうという体質なのに海外旅行なんかして、起きた途端に「ここはどこ、わたしは誰」状態にならないのですかね。

言わんこっちゃないというか、今日子さんは眠らされて記憶を失った上に、怪盗淑女になってしまいまうのですが。

私は掟上今日子。怪盗。
一日ごとに記憶がリセットされる。
(p.58)

「探偵」と書いてあるところを上書きされて「怪盗」になっているのを今日子さんが鵜呑みにしたのです。そんなことができるのなら、魔女とか大天使とかにもなれるかもです。ところが、今回の相棒の厄介さんはその筆跡がおかしいので誰かに工作されていることを見抜く、というネタバレなのですが、そんなウマイ話、ありますかね。本人が筆跡の違いに気づかないのに他の人が気付く。そもそも、私なんかだと自分が書いた字が読めないので、自分が書いたのかと言われても分からないです。案外、第三者の方が信用できるのか。

ところで、エッフェル塔を建てたのはエッフェル氏なんですね。実はフェルト製で「えっ、フェルト?」という話ではありません。くだらない冗談はさておき、

エッフェル氏は、なんと身に覚えのない冤罪をかけられたことがあるらしい
(p.116)

わざわざ覚えがないと力説するということは、身に覚えのある冤罪とかあり得るのですかね? 犯人なのに無罪にされてしまうとか。

塔を盗むアイデアも微妙な感じがします。これなら Google Mapsエッフェル塔の場所を書き換えてしまう、みたいな程度でも盗んだことになってしまいそうです。ヴァーチャル泥棒ですね。あるいは完全に復元可能な設計図を手に入れる、例えば細部までを撮影し3D化したデータを作ってしまえば、物理的にはアレでも情報としては盗んだも同然。あとは巨大3Dプリンタでもあればいくらでも複製できますから…。


掟上今日子の旅行記
西尾 維新 著
VOFAN
講談社
ISBN: 978-4062203760