Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

人類最強の純愛 (3)

今日は昨日の続きで、西尾維新さんの「人類最強の純愛」、残りイッてしまいましょう。てなわけで、やっと本のタイトルにもなっている「人類最強の純愛」の紹介です。今回は深海調査の仕事です。道連れになるのは、天才少女の軸本みよりちゃん。割とズバズバ言うタイプのようです。ていうか西尾さんの話に出てくるキャラって大抵そうですけど。

みよりちゃんと潤が潜航中に雑談しているときに、潤がみよりちゃんのことを好奇心旺盛だと指摘すると、

知らないことを、知りたいって思うから、こういう依頼を一も二もなく引き受けちゃうんじゃないの?
(p.141)

こんな感じで斬り返してきます。潤は斬られないですがね。斬られる前に斬るタイプだし。みよりちゃんの次のツッコミは鋭いと思います。

肝心の竜は住んでいないのに、城の名前が竜宮城って、一体全体どういう意味?
(p.159)

確かに言われてみればそうかも。そもそも龍って日本神話的にはどういう位置づけなんでしたっけ。まあいいや。こんなネタも出てきます。

ウナギのつかみ取りを試みて、空まで飛んじゃうような笑い話
(p.182)

掴んだらウナギがスルっと上に抜けてしまって、あわててそれを掴んだらまたスルっと抜けて、というのを繰り返して空を飛ぶんですよね。何の話だっけ?

あらすじとか必要ないですよね(笑)。次いきます。

この本にはさらに2つの短めの短編【謎】が収録されていて、まず1つ目が「哀川潤の失敗 Mission 1. 4321枚の落書き」。絵描きさんの話です。

で、唐突ですが、哀川潤は大食い系だそうです。

その見事なボディラインのどこに、牛一頭以上とも思えるほどの肉が収納されていくのだろう。
(p.187)

うる星やつらのサクラ先生が同じ能力を持っていましたね。体内にブラックホールがあるのでしたっけ【多分違】。強引に話を戻すと、この短編は潤の述懐という形式のお話ですが、その途中で最強に関する話が出てきます。

最強ってのは、別に一番強いって意味じゃねーからなあ――だってよー。一番と二番って、大体似たようなもんだろ?
(p.189)

明確な差があったら、決勝戦が勝負にならないだろ、というのですが。確かに一理あるような、ないような。ぶっちぎりの一位で誰も勝てないみたいなの、たまにありませんかね。

どれだけ差があろうと格差があろうと、互角みてーなもんだよ。勝者と敗者の間に差なんてねえ
(p.190)

張本さんなら「喝だ、喝」とか言いそうですな。2位じゃダメなんですか。もう一つ気になったのは、

あなたが見ている景色と私が見ている景色は、きっと全然別物だろう?
(p.200)

これはよく言われる説ですが、考えてみたら、全然別物である必然性はなくて、全く同じでも構わないような気もしてきました。

ということで、どんな話かはおいといて終了。最後、もう一つの短編が「哀川潤の失敗 Mission 2. 仲間割れ同好会」、ってソレナニ?

仲間割れ同好会の始まりと終わりについて
(p.212)

んなの聞かなくても仲間割れして終わりに決まっているだろ、とか思いつつ読んでしまいました。ま、要するに仲間割れするのではなく仲間割れごっこのサークルなんですね。

ファイト・クラブみたいなもの
(p.218)

狂暴な蟹を何となく思い浮かべてしまいました。体重を奪ってくれるような。それはそうとして、潤は100人のメンバーを抱えるこの同好会をぶっ潰すという仕事を請け負って乗り込むのですが、ある程度の人数をぶちのめしても、誰もギブアップする人とかいない。なぜか。

俺達は俺達で、仲間割れ同好会という一風変わった団体であって、そこにはしっかりと確固たる連帯感があるわけで、逃げるに逃げられないのだ。
(pp.227-228)

何となく分かる。で、潤は99人をぶちのめして仕事完了とするのですが、最後に残った1人が、俺もぶって、というわけです。連帯感ですね。これに対して、潤いわく、

やだよ、面倒臭い
(p.230)

見事に行動最適化されていますね。サービスとかする発想は無いようです。


人類最強の純愛
西尾 維新 著
竹 イラスト
講談社ノベルス
ISBN: 978-4062990745