Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

人類最強の純愛 (2)

今日は先日途中で切っていた、西尾維新さんの「人類最強の純愛」の続きで、この本に入っている2つ目の作品、「人類最強の求愛」です。

いきなりほととぎすネタが出てくるのですが、

『鳴かぬなら殺してしまえほととぎす』なんつって、織田信長が詠んだ俳句として知られているけれど、それが嘘だってことも、同じくらい知られている。
(p.81)

でしたっけ? 信長、秀吉、家康を比較表現した第三者の作品…だったと思っていたのだけど、じゃあ誰の作品かと言われたら全然思い浮かんでこない。鳴かぬなら泣いて頼もうほととぎす、は誰だっけ。

今回、哀川潤が乗った船がいきなり沈没、遭難して、目が覚めたら知らない島にいた、というストーリーです。

さすがに太陽の位置だけじゃあ、現在時刻のあたりはついても(昼頃だ)、現在位置はわからん…
(p.85)

星座とか見えても、せいぜい緯度が分かる程度じゃないのですかね。ちょっと考えてみたがよく分からないです。太陽の位置だけで現在の緯度ってわかりませんかね。とかいいつつ夜になったらなったで、星座が見つからない。

一角獣座とペガサス座を同じくくりにいれたらややこしいし
(p.92)

一角獣とペガサス自体は、一角はひとつのツノがあるし、ペガサスは羽根があるわけで、とても分かりやすいのですが、潤は混乱しているようです。少しパニくっていますかね。その後、何もない無人島から泳いで脱出しようとしますが、元に戻ってしまって、

泳いでいるうちにちょっとずつ方向を見失って、いつの間にかぐるっと折り返しちゃってたってほうが、まだしも納得がいきやすい。
(p.100)

ていうか、個人的には、何のガイドもなくまっすぐ泳ぐ方が無茶苦茶難しいと思うのですけど。一体どうすればそんなことができるのか。私はたまに地下街とかで目を閉じて歩いてみることがありますが、ちょっと歩いただけでも方向が狂ってしまうものです。地下街限定なのは、車が突っ込んでこないことが保証されているからですね。

『請負人』には『負』けるの文字が含まれてる
(p.103)

これは確かに。最強の請負人ってそう言われてみると勝つのか負けるのか。

潤が眠ってしまった後、目を覚まして寝たまま見上げると、十歳の自分に見下ろされていることに気付きますが、お互い無言です。

先に動いたほうが負けってアレ
(p.105)

ソレ何でしたっけ?

で、十歳の自分に、生きていて楽しいかと問われます。

楽しいねえ。楽しいことばっかだよ。
(p.118)

楽しいという言葉の中身が本質的に違うような気がします。その後、老婆に出会うことになりますが、この老婆は何十年か先の自分らしくて、いきなり一撃をくらいます。性格は変わらないようです。この老婆から何があったか訊かないのか問われて、

聞くとうまくいかなそうな気がするし。ネタバレされちゃあ、人生が楽しめなくなる。
(p.123)

どうなるか分からないから人生は面白いのです。ということで、今回は、途中に出てくるナイチンゲールの逸話の間の言葉を紹介して、また一旦切りますが、ん、この話は一体何なのか、ですか? つまり死の淵を彷徨っているいるときに過去や未来の自分と出会うという時空を超えたストーリーなのですね。で、

そのときはそのときで、そのときが主役だ。
(p.128)

いつも今の自分が主役ってことですね。カッコイイです。

(つづく)


人類最強の純愛
西尾 維新 著
竹 イラスト
講談社ノベルス
ISBN: 978-4062990745