今日の本は「ルポ 貧困大国アメリカ」です。
アメリカといえば富裕大国のようなイメージがあるかもしれませんが、実はそんなことはありません。超大金持ちがいる反面、どん底の暮らしをしている人もいる、それがアメリカ。
第1章は「貧困が生み出す肥満国民」です。貧困層には肥満児童が多いというのですが、その理由は、
家が貧しいと、毎日の食事が安くて調理の簡単なジャンクフードやファーストフード、揚げもの中心になるんです。
(p.17)
お金持ちは健康に配慮したものを食べるから太らないのだそうです。
第4章の「出口をふさがれる若者たち」は怖い話で、
お金のためにやむなく戦地に行く道を選ばされるのです。
(p.107)
さらに、不法移民であっても軍に入隊すれば市民権を得られるため、生きるために入隊するというような話が紹介されています。日本ではそういう話はないですよね。9.11の同時多発テロの頃に大学に入学したアメリカの学生にアンケートをとったところ、
一番怖いものがテロ攻撃だと答えたのはわずか十三・四%、三一・二%が「仕事が見つからないこと」、三二・四%が「これ以上借金が増えること」だと答えた。
(p.126)
日本は相対的貧困がどうこうと言っているのですが、アメリカは何でも自分の責任というのが基本で、一度底辺に落ちて絶対的貧困状態になってしまうと上がってこれないといいます。
第5章の、世界中のワーキングプアが支える「民営化された戦争」、も怖い話で、高給のトラック運転手を募集するというので行ってみたら、戦場で荷物を運ぶ話だった、というようなものです。もちろん、雇用前に危険性は説明するのですが、それを承知の上で、高い給料に魅かれてしまうわけです。
ただ、この運転手が、
劣化ウラン弾や他の化学兵器についてはまったく知識がなかった。
(p.154)
ということで白血病になってしまい、医療費で破産することになります。アメリカは医療費も超高いのです。