Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

うつけ奇剣

今日は「はぐれ長屋の用心棒」シリーズから「うつけ奇剣」。このシリーズ結構あるなぁ、と思って調べてみると、最新刊は46の「幼なじみ」のようですね゜46冊もあるのか。ちなみに、「うつけ奇剣」は27作目です。アニメとかと同じで、回が進むと登場人物が増えたりエピソードが今までの経緯を踏まえたものになっていたりするので、順番に読んでいくのが一番いいのですが。

今回の女性ゲストは「きよ」。

きよは一刀流の剣術の道場主、神谷弥十郎の妻だったが、いまは寡婦である。
(p.7)

きよの次男の新之丞と師範代の植村が歩いているところを待ち伏せされ、謎の牢人に立ち合いを所望されます。この浪人が謎の技を遣うのです。その名も、

「火焔斬り…」
(p.20)

いや別に宣言しなくても…とか思ったりしますが、

「相手の刀を擦り上げるとき、火花が出るのか」
(p.50)

ぜひアニメ化して欲しいですね。この謎の牢人、名前は平沢四郎兵衛、に圧倒されて絶対絶命のピンチのときに、源九郎と菅井が駆けつけて助けるというシナリオなのです。

道場主の弥十郎が亡くなったので、誰かが道場を継ぐことになります。剣技に長けた長男の宗之助に継いでもらいたいのですが、どこにいるか分からない。旅から帰ってこない。それで次男の新之丞が探していたのですが、何となくふらっと帰ってきます(笑)。宗之助の雰囲気はというと、

悪く言えば、しまりのない間の抜けた感じ
(p.72)

ということで今回のタイトルが「うつけ者」なんですね。しかし腕は立ちます。こういう人の方が案外怖いです。帰ってきて早速、まずは居合の達人の菅井と一手所望、ということで立ち会うのですが、妙な構えをします。

身構えに闘気が感じられず、顔も眠っているように表情がない。それに、木刀を下げて後ろに引いているので、柄の近くしか見えなかった。
「柳枝の構えでござる」
(p.76)

思わず天才バカボンの歌を歌ってしまいそうな感じです。これでいいのだ。柳生の「無形の位」みたいな構えですかね。

今回は剣術指南役をめぐる道場対道場の争いなので、バトルのシーンが満載です。最後のクライマックスシーンは火焔斬りの平沢と源九郎の勝負になり、先に相手を片付けた菅井が助太刀しようとすると、源九郎が、

「手出し無用!」
(p.278)

尋常な勝負に拘るあたりがサムライなんでしょうね。負けたら大変なことになるわけですが、まあこの本の流れからいえば負けませんからね。


うつけ奇剣-はぐれ長屋の用心棒(27)
鳥羽 亮 著
双葉文庫
ISBN: 978-4575666083