Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

深川袖しぐれ

今日の本は、鳥羽亮さんの、はぐれ長屋の用心棒シリーズから、「深川袖しぐれ」です。このあたり、図書館で適当に手あたり次第に借りているので、順番は貸し出されていないのを手に取る結果、適当です。

茂次は研師、つまり刃物を研ぐ職人です。それがひょんなことで幼馴染のお梅さんを助けることになります。お梅は父親の博打の借金のカタに取られようとしていたのです。結局お梅はさらわれてしまい、それを取り戻す、というのがストーリーです。

悪役は相撲の五平。

五平は抜け目のない男でな。表向き賭場は、右腕の与三次という男に仕切らせている。そっくり挙げても、五平はたまたま客で来ていただけだと言い張るだろう。
(p.78)

悪役の親分はそんなものでしょう。この五平が自ら警告に来ます。

「伝兵衛長屋の華町源九郎さまでございましょう」
(p.106)

ふてぶてしいものです。危ない男を三人連れてきていますが、この三人が凄腕の殺し屋ということになっています。

江戸の街並みの描写もわんさか出てきますが、

特に、深川七場所と呼ばれた仲町、土橋、新地、石場、表櫓、裾継、佃新地には、遊女を置いた女郎屋や子供屋が立ち並び大勢の客を集めていた。
(p.94)

子供屋というのは見慣れない言葉だと思いますが、遊女を置いていた家のことです。遊女は子供屋では仕事をせず、呼ばれてから茶屋に向かって客と会うのです。お梅はそういう所に連れていかれたわけで、もちろん逃げ出せませんし、借金のカタで連れ出されているので逃げても連れ戻されるだけです。

殺し屋が3人も相手なので壮絶なバトルになるわけですが、猛烈な戦闘シーンはなかなかなものです。

 

深川袖しぐれ―はぐれ長屋の用心棒
鳥羽 亮 著
双葉文庫
ISBN: 978-4575662245