今日は鳥羽亮さんの「はぐれ長屋の用心棒」シリーズから「おしかけた姫君」です。シリーズ21作目ということです。
主人公は華町源九郎。普段は長屋で傘張りの内職をして貧乏生活なのですが、実は。
源九郎は鏡新明智流の達人だった。
(p.35)
じゃあ向かうところ敵なしかというと、世の中には強いのがいくらでもいる訳で、たまには簡単に勝たせてくれない相手も出てくるし、もう年なのでスタミナに問題があります。しかし経験値は高いのでいろんなノウハウを身に付けている。
多くの修羅場をくぐってきた源九郎は、利のない勝負から逃げることも剣の腕のうちだと思っていた。
(p.130)
宮本武蔵や柳生宗矩の境地ですね。極めてます。とはいっても、やはりかなりの凄腕なので、腕の立つ長屋の仲間と組んで、用心棒的な業務活動をしているわけです。今回の依頼者はこんなことを言う。
そこもとたちは、これまでに旗本、御家人はおろか、大名家の騒動にも手を貸し、うまく収めているとのこと。
(p.84)
まあ悪くいえばヤクザみたいな気がしないでもないですが、よく言えば警備の人達。SPですか。前半では、篠田屋という呉服屋にタカリにきた牢人を退治します。水をかけられたと難癖をつけて五十両払えば許してやると恐喝してくる。そこで源九郎達の出番となるわけですが、コテンパンにやっつけておいて、礼金として五十両受け取る。もし裏で話が付いていたらいい商売だ(笑)。
ま、同じ五十両といっても、たかりの方はそれでは済まないわけですがね。一度金を払ったらどんどんつけあがる。
この長屋仲間に島田藤四郎という若侍がいます。そこに振袖を着た若い娘が駆け込んできた。というのが本作品のストーリーになります。名前は萩江。これを誘拐しようと企む奴らがいるので、警護して阻止して欲しい、という依頼を受けるわけです。基本的に格闘系の時代小説なので面白いです。サラッと読めます。
おしかけた姫君-はぐれ長屋の用心棒(21)
鳥羽 亮 著
双葉文庫
ISBN: 978-4575664935