決起!を出しちゃったので、勢いで「終舞!」も書いてしまおう、と思ったのだが、もうこのあたりからスケールがデカくなりすぎて何をどう考えてよいのか分かりません(笑)。何か言いたいのだろうという雰囲気はひしひし感があるのですが、何が言いたいのかよく分からないのです。
決起!で伏線になっていた「くつがえし」という技が、樹と偲に伝授されます。これが何か凄い技で、
時をくつがえし、場所をくつがえし、記憶をくつがえす。
(p.75)
この技を各国首脳の前で披露して世界を変える、というのだからスケールがデカい話なのです。歌で宇宙人と闘うようなものですね。この技は政治に使われるのですが、いまいち使い勝手はよくなかったようです。
「確かに『くつがえし』は強力な記憶のコントロール力を持つ。だが反面、それが『対』という人間頼みであり、舞を見せるという特殊な形でしか作用しないとあって、権力側にとっては、確実な手ごまとはなり得なかったんだ。
(p.280)
もう話がデカすぎてわけがわかりませんよね。たかが掃除ですよ?
元(?)顧問の相撲(すまい)との異種格闘技戦の勝負は、命懸けのはずなのですが、いまいち緊張感がありません。まあこの話は主人公の樹がジタバタしながらレベルアップしていくという単純なベースラインがあるので、昔のジャンプの漫画みたいに、どんどん強い相手と戦うために自分も超人になる必要があるわけで、ある意味〝予定調和〟ってやつですか、そうならざるを得ないのかもしれません。3作を一気に読み切るのが一番いいような気がします。
最後に1つ、なるほどね、と思ったところを紹介しておきます。
歴史というものは、史料として残っているものがすべてじゃない。裏を読まなければわからない場合もある
(p.48)
そもそも表も裏もない虚構の歴史だってあるわけですから。
終舞! コロヨシ!! (3)
角川文庫
三崎 亜記 著
ISBN: 978-4041023181