今日は、浜村渚の計算ノート4さつめ、方程式は歌声に乗って。4作目の「オペラ座の未知数」がミュージカル仕立てになっているので、このタイトルのようです。オペラ座の怪人は結構好きな小説なんです。
1作目「モンティ・ホール・クイズショウ」は、もちろんモンティ・ホール問題。条件付き確率ですね。ベイズの定理です。ん、ベイズって言葉は出てきたのかな、見落としたかもしれません。
2作目「折る女たち」は折り紙がネタです。折り紙というのは案外数学と関係ある奥の深い分野なのです。入試問題には、折るとどうなるか、みたいな問題が出ることがありますよね。
「『3通りの箱』が折れる展開図って、あるんでしょうか?」
(p.170)
あるのでしょうか?
3作目「事情だらけの総合病院」は、四角数、バーゼル問題、四平方の定理。2乗と事情をかけているようです。
この話の中で、両足の骨にひびが入って入院中の大山あずさの病室を犯人が襲うことが分かって、大慌てで駆け付けてみたら、犯人が床に伸びていました。
両足が全く使えないという大きなハンデを背負いながらも突きが胸にヒットし、痛がってうずくまっているところに後ろからシーサーの置物を叩きつけて気を失わせた
p.233
容赦ないですな。
4作目「オペラ座の未知数」のネタは方程式、ディオファントス方程式が出てきます。
『ここに眠る男ディオファントスは、その生涯の1/6を少年時代として過ごした。その後生涯の1/12を過ぎてからヒゲを伸ばしはじめ、その後生涯の1/7を過ぎて結婚し、5年後に子どもが生まれた。子どもはディオファントスの生涯の1/2を生きて亡くなり、その4年後に本人も亡くなった。ディオファントスは何歳まで生きたか?』
(p.311)
これを方程式を使わないで解くのは面倒そうですが、コンピュータなら総当たりしたくなりますね。
あとがきには、数学と音楽の話が出てきます。
まあとにかく、音楽の裏にも、数学はべったりと張り付いているということですよね。どちらもとても美しく、自由で、∞(無限大)の可能性が広がっているんです。
(p.357)
数学と音楽に関しては、このブログでも何度か紹介した GEB というのはバッハが出てきますからね。
数学と音楽と哲学は表裏一体なのです。
浜村渚の計算ノート 4さつめ 方程式は歌声に乗って
青柳 碧人 著
講談社文庫
ISDN: 978-4062774918