Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

空の都の神々は

今日もドタバタ、ていうか東京と大阪を往復しています。それで新幹線で一冊読んでしまいました。

空中都市で神様と人間が共存する、という独特の世界の中、グダグダの権力争いに主人公のイェイナが巻き込まれていきます。イェイナは19歳の女性ですが、結構危ないタイプで、ナイフが得意。そして神様に好かれます。

特にシアという神様、姿は子供なのですが、何歳かよく分かりません。これがイェイナにいろいろちょっかいを出します。

クルエは思慮深いけど、ぼくはそうじゃない。彼女は賢明だと思ったことをする。ぼくは楽しいと思ったことをするんだ
(p.101)

クルエも神様です。賢い女神さまっ、てな感じです。そして重要な役割なのが、ナハドという夜の神様。夜の君と呼ばれていますが、ほぼ最強です。しかしイェイナの命じたことはナハドは服従しないといけないのです。それがルールです。ただ、迂闊な命令を出すととんでもないことになります。

まさに適切な指示を与えることが重要だ。ナハドは盲点がないか考える。
(p.76)

盲点というのは、例えば、

そしてもし「ナハド、あなたの好きになさい」などという不注意なことをいえば、わたしは彼に殺されてしまうだろう。
(p.112)

みたいな話です。化物語でも願い事を叶える猿の手の話がありましたが、あれです。実は猿ではなかったようですが。

この作品には、格言的な表現が結構出てきます。例えば、

もし注意深く読めば、腐った知識のなかにさえ真実はあるものよ
(p.187)
何事にも最初はあるものよ
(p.484)
どんなものであろうと、何かを生み出すには苦痛はつきものだ。
(p.523)

そんなに深い言葉ではないかもしれませんが、じわじわと説得されるような感じもしてきます。クライマックスのどんでん返しも、アニメにしたら盛り上がりそうな感じです。

 

空の都の神々は
ハヤカワ文庫FT
N・K・ジェミシン 著
佐田 千織 翻訳
ISBN: 978-4150205379