Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

女無用―反町大膳秘伝書

時間がないないと言いながらチマチマと本を読んでいるのですが、実は今日も1冊読んでしまいました。といっても、30分程度で読み切っているのですが、読むのと感想を書くのとではエネルギーが何か違うようです。

ということで、少し前に読んだ本を紹介します。五味康祐さんの「女無用」。時間がないので(笑)、サラっといきます。

反町大膳秘伝書、というサブタイトルです。五味さんの秘伝書といえば剣の奥義とか出てくるイメージですが、この本の秘伝というのはそっちじゃありません。

「和尚、女人を歓ばせる術いかに」
(p.83)

こっちです。秘奥技というか、艶技でしょうか。アッチの話です。従ってあまり詳しいことは書けません。和尚と呼んだのは暈華律師、とても怪しい人物ですが、それはそうとして、この作品、Amazon で見た感じでは誰もレビューしていません。流石にヤバいって。

例えば、極意の壱「夢の枕」、この章だけでも次から次へとエピソードが出てきていつもの五味節なのです。太守飛驒守忠高が脾疳(貧血症の一種)という病気になったとき、人の生肉を食えば治るとか言い出します。しかも、

女の、それも処女の肉を以て奇薬といたす
(p.36)

パワハラどころの話ではありません。処女を並べて確認の検査をした後で一人を選んで、腿の肉を四五寸削ぎ取ります。これを刺身のようにして太守に食わせたら治っちゃったという話です。腿の肉を食わせるというのは戦国譚でも出てくるネタですが…

極意の弐「爪返し」では、この太守に子ができない。この時代、世継ぎができないのは一大事ですから、何とかならんか、ということで懐妊させるやり方【謎】を例の浪人、つまり大膳に教わろう、という話になるわけです。しかもそういうのは実際にやって見せないと分からんだろうということで、実際にヤッてレクチャーする、みたいな。エロいといえばエロいのですが、何か時代がズレていて妙に興奮していいのかどうかよく分からず茫然としてしまいます。

この章で槍の勝負のシーンがあります。

うてば響く如く大膳の手からガラリと槍が抛げ出された。同じく又右衛門が槍を捨てた。
(p.66)

二人とも槍を捨ててしまうのですね、槍の勝負なのに何で。理由はこの後に書いてありますが、騙されたような理屈です。しかも勝負はついたのに常陸介光貞は目にホコリが入って見えなかったとか言って引き揚げてしまう。大人のやりとりです。

極意の四「短槍の突き」の長楽翁、このジジイもなかなかいい味を出しています。文庫本でも出ているようなので、縁があったら読んでみても損はないと思います。

 

女無用―反町大膳秘伝書
五味 康祐 著
文藝春秋新社