Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

雑記

昨日でこのブログが連続365日投稿になったようです。1年間毎日書いたということになりますが、雑記が案外多いので、何冊紹介できたかは謎ですね。といいつつ、今日も雑記ですが。

戦中派不戦日記の最初の方は、東京の大空襲のシーンが出てきますが、

勿論、戦争である。敵の無差別襲撃を、天人とともに許さざるとか何とか、野暮な恨みはのべはしない。敵としては、日本人を何万人殺戮しようと、それは極めて当然である。
 さらばわれわれもまたアメリカ人を幾十万人殺戮しようと、もとより当然以上である。いや、殺さねばならない。一人でも多く。
 我々は冷静になろう。冷血動物のようになって、眼には眼、歯には歯を以てしよう。この血と涙を凍りつかせて、きゃつらを一人でも多く殺す研究をしよう。
(昭和二十年三月十日)

目の前で同胞を大勢殺されている、というよりも、自分自身が殺されかけているのだから当然の感情でしょう。アメリカ人だって9.11のときには全国民が怒りに怒っていたと思いましたが、しかし次の感情はどうでしょうか。

吾々はここに武士の情けを以てその哀悼を祈りたい。
(昭和二十年四月十三日)

これはルーズヴェルトが死んだというニュースに対して書かれた日記です。市街地の無差別空襲を受けて頭にきて一人でも多く殺し返すという感情を持ちながら、同時に敵将を哀悼するというのは、日本人でないと理解し難い感情かもしれません。

 

戦中派不戦日記
山田 風太郎 著
角川文庫
ISBN: 978-4041356586