Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

ひなこまち

困ったものですが、書かないと仕方ないのでとにかく書いてみますか、「ひなこまち」です。「しゃばけ」シリーズの11冊目。

1つ目の話は「ろくでなしの船簞笥」。この簞笥という漢字を出すのに結構苦労した。ネットで見ると箪笥と書いてあるページが多かったので困ったものです。この話ですが、大きな炬燵を指物師に作らせて品物を受け取ると、「お願いです、助けてください」と書いた木札が入っている。意味が分かりません、ということで若だんなが困ってしまった。そこにやってきたのが困った七之助。上方の祖父の葬式に行ったら、

船簞笥は江戸の父に、形見として残す。中に入っているものは、あたしと弟にやると、祖父はそう言ったんですわ
(p.22)

ところがこの箪笥の引き出しが開きません。からくり細工になってるんですね。これを若だんなが開けるという話。もちろん中には怪異が入っているからいろんなややこしいことが起こるのです。

2つ目の話は「ばくのふだ」。ばくというのは夢を食べるという、アレですね。若だんなが寄席に落語を聞きに行きます。怪談が流行っているのですが、妖を引き連れて聞きに行くのですから洒落になってませんよね。冗談はよせ、みたいな。そこに刀を抜いた侍が乱入してくる。何とか逃げることに成功しますが、その後、獏が逃げ出したので捕まえてくれと寛朝がやってきて、だんだん謎が解けてきます。ま、ドタバタなんですが、貧乏神の金次のこのセリフがいい。

御坊、この世には怖い因果が、溢れているのさね
(p.98)

貧乏神に言われると確かに怖い。

3つ目はタイトルになっている「ひなこまち」。タイトルの意味は、

浅草にある人形問屋平賀屋が、美しい娘を一人雛小町に選び、その面を手本にして、立派な雛人形を作る事になったのだ。
(p.138)

モデルになった娘には大名家の側室になれるのでは、という噂が広まって大変な戦いに。この話は屏風のぞきが地味に活躍します。

4つ目の「さくらがり」は、またお花見にいく話。例によってドタバタします。どんな傷でも治るけど五倍痛いという薬が面白いです。

5つ目は「河童の秘薬」。最後に若だんなは夢の中に入ってしまいます。佐助と禰々子のバトルはストリートファイター級のようですが、おかげで夢の中から出て来れたというのはよく出来ていますね。

ひなこまち
畠中 恵 著
新潮文庫
ISBN: 978-4101461311