Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

七つの時計

またかと言われそうですが、気にしないでアガサ・クリスティさんの作品から、「七つの時計」。

ポワロもマープルも出てきません。チムニーズ館の住人が殺されるという事件が発生します。探偵役を演じるのはアイリーンという女性。館のオーナーの娘で、作品中はバンドルという名前で呼ばれています。ロンドン警視庁のバトル警視と協力して犯人を捜すことになります。もっとも、バトル警視はバンドルに手を出すなと何度も警告するのですが、全然言うことをききません。あちこち情報収集に飛び回ります。

タイトルの七つの時計というのは、どうしても朝に起きてこない人を起こすために八個の目覚まし時計を買ってきて仕掛ける、というイタズラから来ているのですが、仕掛けた部屋の住人が死んでしまった後になぜか7つしかないのです。

さて、最近は女性の議員も増えたようですが。

そもそもあたしとしては、女性が議会に出るのはあまり賛成できないんだけどね。もっと女らしいやりかたで、影響力を及ぼすことだっていくらでもできるんだから
(p.139)

マーシャ伯母さまの言葉です。年寄りらしいステロタイプの発想かと思ったら、裏からコントロールするってことですよね、恐ろしい。クリスティさんの小説は会話の奥が深いですな。

ちょっと時間がないので今日はこれで。もう一言、奥が深い言葉を紹介しておきましょう。

大物というのは、もとめられないかぎり、釈明はいっさいしないほうがいいということをつねに心得ているものですよ。
(p.229)

 

七つの時計
ハヤカワ・ミステリ文庫
アガサ・クリスティー
深町 真理子 翻訳
ISBN: 4150700605