Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

数学の問題を うまく きれいに解く秘訣

数学が苦手で、教科書に出てきたり参考書で分かった問題なら解けるが、初見の問題が解けない人がいる。解法がうまく理解できなくて、問題と解答を覚えてしまうからだ。もう少し頑張れば解法を覚えて初見の問題も何とか解けるようになる。しかしキレイに解くのは難しい。この本は、そのあたりのレベルの人に役に立つかもしれない。

解法集のような本はあるが、この本はもう少し上位レベルの、解法がどのような視点で作られているのかを解説している。

とりあえず、問題。

問題 6.4
1/(x+5) = 4 のとき、1/(x+6) の値を求めよ.
(p.99)

まあ計算すれば解けますよね。しかしこの本は「うまく きれいに」解くことを目標としている。エレガントに解くにはどうするかというノウハウ本。具体的には、10種類のストラテジーが紹介されていて、

論理的に推論する
パターンを認識する
逆向きに考える
視点を変える
極端な場合を考える
純化した問題を解く
データを整理する
図で視覚的に表現する
すべての可能性を網羅する
知的に推測し検証する

それぞれについて、問題に続いて「ありがちなアプローチ」と「エレガントな解法」が紹介されている。個人的には、この「ありがちなアプローチ」が本当にありがちで面白い。

ところで、

問題 3.1
2つの非負の整数があり、それらの和は2で、籍は5である。このような2つの数の逆数の和を求めよ.
(p.35)

そんな非負の整数はない。本文中にも i+2i、1-2i という解が出てくるので翻訳時のミスではないかと思う。

ちなみに、最初に紹介した問題のエレガントな解き方だが、まず両辺の逆数をとって、

x+5 = 1/4

両辺に1を足すと、

x+6 = 5/4

また逆数をとって、

1/(x+6) = 4/5

これが答になる。


数学の問題を うまく きれいに解く秘訣
ルフレッド・S. ポザメンティア、クルリック,スティーヴン 著
桐木 由美 訳
桐木 紳 監訳
共立出版
ISBN: 978-4320113213