Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

狐笛のかなた

守り人シリーズを途中まで紹介していますが、今日の本は守り人シリーズの作者である上橋菜穂子さんの作品です。

主人公の小夜はひょんなことで怪我をした狐を助けます。狐の名前は野火、妖狐で使い魔です。小夜は実は能力者で、立場的には敵同士なのですが、野火は命の恩人である小夜と戦うことはできず、主を裏切って小夜の味方になってしまうので、話がややこしくなります。

ファンタジーですが、最初から最後までベースになっているドロドロとした憎しみの連鎖は、守り人シリーズとどこか似た感じがありますね。

すべて生き物は、生まれて、死ぬ。それだけなのだから。
(p.127)

このような思想も何となくそれっぽい。しかし結局それだけではないような話ですね。ちなみに、狐笛というのは、

このなかに霊狐の命を吸い、使い魔を自由に操る技も教えてやろう
(p.363)

というようなアイテムです。野火はこれで操られているのですが、最後のバトルシーンの後で、なんということでしょう、的な使い方をすることになります。

見られてはだめよ。
(p.149)

見られたら死ぬという話は以前紹介したレベル99にも出てきましたよね、98だっけ? 忘れた(笑)。このような背景が何となくジャパニーズファンタジーな気がします。

狐笛のかなた
上橋 菜穂子 著
新潮文庫
ISBN: 978-4101302713