自選集という文庫本コミックの4巻目です。タイトルになっている「五番街を歩こう」は3話のオムニバス、少女マンガ的な大人が出てくるのが面白いです。
岩館さんといえば登場する女性がとてつもなくズレているというか天然度が高いのですが、この本では特に浮き足立っている【謎】のが「きみは3丁目の月」に出てくる恩田ルツと日野みどり。ルツは忘れ物を弟の彰に取ってくるよう頼むのですが、彰は途中で倒れていた女の子を背負って帰ってきます。
あたし
女の子を
持って来いなんて
いわなかったわ
(p.177)
そういう問題じゃないと思うのですが、ベッドで横になっているみどりは、ルツが覗き見しているのに気付いて、こんなことを。
へびのような目で
にらんでいるわ
(p.180)
なかなかいい勝負。他人だと思っていたら兄妹だった、というのは「コクリコ坂から」だけど、血縁関係があると思っていたら他人だったというのは少女マンガのストーリーとしてはたくさんありますね。現実的にそういうヤヤコシイ話はどれ位あるのでしょうか。
この本の最後の作品「鏡の中の華子へ」はスズメを探してください。