Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

モノクロの君に恋をする

漫研を舞台にした小説です。Amazon のレビューは悪くないようだけど、これマンガを知らない人が読んでも面白いのかな?

話の途中にマンガがたくさん出てきます。ちょっと見て気付いたのを紹介すると、「進撃の巨人」「弱虫ペダル」「スラムダンク」「ドラゴンボール」「幽☆遊☆白書」「ガラスの仮面」「ジョジョの奇妙な冒険」「ポーの一族」「イタズラなKiss」「うしおととら」「ハチワンダイバー」「吼えろペン」「日出処の天子」「トーマの心臓」「ちはやふる」「花より男子」「ヘルタースケルター」「ヒミズ」「AKIRA」「テンプシコーラ」「昴」「ピンポン」「キャプテン翼」「こどものおもちゃ」「放浪息子」「BANANA FISH」「のだめカンタービレ」「ハチミツとクローバー」「ご近所物語」「下限の月」「マーマレード・ボーイ」「童夢」「まんが道」「タッチ」「ハンター×ハンター」「ワンピース」「ブラックジャック」「少年少女ロマンス」「金田一少年の事件簿」「東京大学物語」「DEATH NOTE」「るろうに剣心」。

こんな感じで出てくるので、だいたい内容を理解していたら解けます【謎】。個人的には風木が入ってないのは納得いかないですが。解くというのは、

エヴァ』のシンジくんを思い出すうじうじっぷりだわ。
(p.238)

とか言われても、シンジくんを知らないとシンジって誰状態になって思考停止してしまうじゃないですか。

まあそういうの一切無視しても面白いです。というのは、登場人物が主人公の小川卓巳くんも含めて全員社会不適合者。一見現実的にあり得なさそうでよくあるパターンです。集団生活できない人々がサークルという媒体をシェアすることで外見的集団を形成します。こういうサークル、今も【謎】多いのでしょうか。だとしたらある意味日本の未来は明るいかもしれません。

小川くんがサークルの先輩と激論しているときに思わずつぶやくコレが印象的でした。

そ、そのまま自分に見とれて鏡に飛び込んで血まみれになればいいのに……!
(p.96)

性格としては普通かな。マンガ的には鏡に飛び込んだらあっちの世界に無事転送されてしまいそうな気もしますけど。

大学の雰囲気がよく出ています。キャンパスライフを思い出します。まだの人はこれからの世界を妄想できます。

わたし、あそこのグァテマラのコーヒーを楽しみにしてツラい講義に耐えてきたのに
(p.104)

大学の近くの喫茶店はお約束ですよね。最近はチェーン店が普通に勢力拡大しまくっているからそうでもない? ちなみに私はキリマン派でした。キリマンジャロはここ何年か飲んでないのです。

漫画を描く道具を選ぶときのセリフ。

本気になるんなら、自分のペンは自分で選ぶ!
(p.214)

プログラマーってそういうのないな。開発環境とか上に言われたのをそのまま使う。昔は emacs じゃないとイヤみたいなのが大勢いました。このセリフに続いて、

天原の言うことは、武の道においても正しい。己の使う武器の性質、本質、特徴。それを見極めることによって、初めて刃は輝くのだ
(p.214)

刃は輝くとか、何か元ネタありそうな気もしますが。そういえばなぜかキーボードやマウスは自分で選んでいるかな。最後に今日の格言。

ダメ人間が集結したところで、ダメな会議にしかならない。
(p.256)

しかも怪文書も出来てしまうのがダメ会議。


モノクロの君に恋をする
坂上 秋成 著
新潮文庫nex
ISBN: 978-4101800998