Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

神の守り人〈上〉来訪編

守り人シリーズの第5作。この話は上下巻になっています。今回は上を紹介します。

【honto 電子書籍】守り人シリーズ電子版 5.神の守り人 上 来訪編

上巻はバルサがチキサとアスラという子供の兄妹を連れて逃亡するお話になります。今回のキーマンはアスラ。man じゃなくて girl だけど、世界を滅ぼせるパワーをもった神が憑依します。神なのかなこれは。悪神?

物語は悪役が面白いといったのは河合隼雄さんだと思うけど、今回の悪役はシハナ。自分が悪いと思っていないところが一番悪い。

自分が勝利する形をまず想像しておくの。それから、自分の動きで、相手をその形に導くのよ。それだけ。
(p.63)

シハナの戦術です。これでうまく導けるから連戦連勝という話がありますが、相手がノッてこない時はどうすればいいのでしょうか。

バルサは今回も酷い目にあって死にそうな怪我をしますが、案外怪我の治りが早いです。コツは食べて寝ること。カリオストロの城ルパン3世のようですな。ヒーリングのスキルが重要なのはRPGとかやってれば分かります。

傷ついたり、弱ったりすれば、それがすぐに死につながる獣たちにとって、傷の治りが早いかおそいかは生死を分ける。
(p.74)

理屈っぽい呪術師のスファルが過去の歴史を語るところの台詞にも注目です。都合の悪いことも美化しないでそのまま伝える理由について、次のように答えます。

それはな、忘れさせないためだ。記憶を風化させないためだ。
(p.200)

歴史はフィクションではないのだから、事実でないと意味がありません。その中にはあえて酷いことまで含めないといけない。そうしないと抑止効果が失われてしまいます。

風化といえば、一般には“中国人は忘れない”そうです。だから国交は正常化しても中国人は日本を許さない。100年程度ではダメで、いつまでも忘れない。これに対して日本人はすぐに許してしまう、すぐに忘れるそうですが、とんでもない。ちゃんと覚えてますよ、毒入りギョーザも、賞味期限切れチキンナゲットも。だから私は中国産の食品は買いません。メタミドホス入りの食べ物なんて食べたくないので、100年後も買っていないと思います。多分、その前に死んでますけど。


神の守り人〈上〉来訪編
上橋 菜穂子 著
新潮文庫
ISBN: 978-4101302768