Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

Dr.福井の大学入試必勝の法則

いわゆる受験本、あるいは勉強法の本です。この種の本を一冊も持ってなくて、受験勉強のやり方がわからない、という人にはまずこれをおすすめします。

理由は単純で、安いから。1000円でお釣りがくる本って、案外ないです。 それで必要なことを短く要約して網羅しています。大学の選び方、赤本の使い方、受験科目の決め方、模試の受け方、いつ何をするかのスケジュールの見本。そして、各科目ごとに具体的にどの参考書をこのようにやれ、というレベルの細かい指示が出てきます。

必勝の法則というタイトルだけに、これをこの通りやれば確かに必勝できそうな感じはしますが、そこは裏返すと、これを書いてある通りにやるのは結構厳しいぞ、という感覚も持って欲しいと思います。

ところで、知恵袋とか見てると、受験は地頭だとか、一流大学は地頭が良くないと無理、みたいな投稿がたくさん出てきますが、そういうのを言ってるのは高校で勉強サボってマーチにもひっかからない人だけなんですよね。福井さんは東大卒で医師なので、医学的に簡単に言い切ってくれます。

医学的な見地から見ると、人間の運動能力にはかなりの個人差があるが、頭のキレや記憶力にはほとんど個人差がないと言ってよい。では、なぜ偏差値は個人差が大きいかというと、それは勉強時間が多いか少ないかによるのだ。
(p.8)

医学的な見地というのは、エビングハウスさんがアレを実験してから今まで、大勢の研究者が実験したわけですが、その結果、個人による記憶力の差はそんなにないと実証されたのです。 いやでも待てよ、記憶力のいい人と悪い人って実際いるじゃないか、と思う人はたくさんいるでしょう。 確かに私の周囲にも、何でもすぐ覚える人と全然覚えない人がいます。何でそんな差が出るの?

そう、福井さんが書いた通りです。勉強時間が多いか少ないかなんです。暗記だって勉強の一種です。今でしょ!の林先生、テレビで活躍中ですが、何でもよく覚えているようですね。あのレベルだと地頭がいいのかもしれませんが、ご本人は1冊の本を何度も読むといってます。何度も繰り返す、これがポイントで、暗記が得意な人というのは、要するに繰り返す回数が多いのです。だからよく覚えているという単純な話です。暗記が苦手という人も、同じだけ繰り返したら覚えるはずです。

もう一つコツがあります。分からなくてもまず考えるのです。

まず最初は解答を隠して5分間ほど考えてみよう。しかし、5分ほど考えてわからなかったら、サッサとあきらめて、解答を見ること。
(p.66)

考えて分からないと頭がモヤっとしますよね。ビリギャルにはスポンジ状態と書いてあったと思います。この状態にしてからスッキリ分かったという状態を経由して覚えると、脳が強烈に覚えようとするのです。クイズでも間違えた問題の答をかえって覚えていたりしますよね。

先日紹介した「偏差値29からの東大合格」は、考えないでいきなり解答を見るやり方です。このやり方は珍しいですけど、5分を節約した代わりに、何回も繰り返すようです。

なお、この本は全部で128ページと短いので、あまり細かい話は書いてありません。改訂版といいつつも、出てから5年ほどになるので、それ以降の参考書は出てこなかったりします。やる気があるのなら、他の受験本も併用するのがいいと思います。


Dr.福井の大学入試必勝の法則
福井 一成 著
ライオン社
ISBN: 978-4844045236