Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

涼宮ハルヒの分裂

本の紹介が時間軸を逆行していますが、佐々木さんが登場するのがこの巻です。

佐々木さん、どんな性格かというとキョン曰く、

エラリイ・クイーンの国名シリーズを全部読んでる生徒など知る限り佐々木一人である。
(p.241)

国名シリーズというのは、ローマ帽子の謎フランス白粉の謎オランダ靴の謎ギリシア棺の謎エジプト十字架の謎アメリカ銃の謎シャム双生児の謎チャイナ橙の謎スペイン岬の謎ニッポン樫鳥の謎、かな。これで何となく性格が分かるような。

私も全部読んだような気がしますが、気のせいかもしれません。クイーンの推理小説は先日九尾の猫を紹介しましたが、ロジカルなのが特徴。ちなみに佐々木さんは自分自身を次のように自評しています。

僕はいつでもどこでもどんな時でも理性的かつ論理的でいたいと思っている。現実をあるがままに受け入れるには、情緒的感情的な思考活動はじゃまっけなノイズでしかありえない。
(p.242)

気分で動くハルヒと対比になっているわけです。佐々木さんのクールなのは、化物語羽川さんに似ていると思います。

人間は己の認識能力を超えた事象を決して正しく理解することはできないのだからね。
(p.70)

なんてのは根底に「知ってることだけ」と同じものがありますね。どこかで線引きしていて、その先には踏み込まないことを決めているようです。結局、佐々木さんが動じないので周囲のややこしい変人たちが何とかして巻き込もうとアタフタするのですが、それにしてもキョンがこの美女を目の前にしてアタフタしないのがよく分からないですね。どういう趣味なのか。そこは佐々木さんがコントロールしているのかな。あるいはハルヒに振り回されすぎて遠心力で感情がどこかに飛んでいってしまったか。

涼宮ハルヒの驚愕」ではハルヒの受験勉強講座のシーンが出てきますが、これは分裂を読めば理由が書いてあります。

涼宮さん、キョンのことをよろしく頼みます。どうせ彼は高校でもせっつかないと勉強や課外活動に力を入れたりしてないんでしょ? 彼のご母堂の堪忍袋の緒が切れる前になんとかしないと、中学同様、放課後に予備校通いを強いられることになるでしょう。
(p.139)

予備校なんかに行くことになったら下僕が放課後にSOS団に来れなくなってしまう、それは困るので仕方なくハルヒが動いたわけですね。ちなみにハルヒじゃなくてキョンのセリフですが、

夜眠れないなら昼学校で寝ろ。授業中の五分の睡眠は通常の眠りの一時間に相当するという話だぜ。
(p.51)

そんな説ありましたかね?


涼宮ハルヒの分裂
谷川 流 著
いとう のいぢ イラスト
角川スニーカー文庫
ISBN: 978-4044292096