今年最後に紹介する本は、実は別の本にする予定だったのですが間に合わなくて他の本になった、とか書かなければ誰にもバレないのだから余計なことを書かなければいいのだが…とか思いつつ、今日は喜多喜久さんの「ヴァンパイア探偵」です。
ミステリーです。血液鑑定で犯人を特定するパターンですが、血液の鑑定方法が昔のように Rh がマイナス的なレベルではなくて、
DNAのシトシン、あるいはアデニンのメチル化の度合いを解析することで、その遺伝子の持ち主の年齢がある程度分かるようになってきた
(p.100)
みたいな、最先端の技術を使った血液分析です。
その分析をするのが天羽静也。血液研究をしているドクターです。外見とか吸血鬼っぽいので裏ではヴァンパイアとか呼ばれていて、それっぽい洋館に住んでいたりしますが、実は研究の成果として、ヴァンパイア因子という遺伝子を発見しています。
ヴァンパイア因子を持つ者がその血液を舐めると、濃密な甘さと脳を痺れさせるほどの旨味を感じてしまうのだ。
(p.79)
それで吸血衝動が発生するというシナリオになっています。血を舐めると快感なので吸血する、みたいな。動機としては弱いような気もしますが。我慢するためにトマトジュースを飲むというのは何となく分かります【なんでかな】。スッポンの血とか飲んだら衝動が高まってしまうので野菜の方がいいのかも。
この本には第一話から第四話まで、短編形式で4つのミステリーが収録されています。殺人事件を担当するのは静也の幼馴染の遊馬という刑事と、コンビを組む女性刑事の虎姫。この女性が特異体質で、
中高年の男性に近付くと背中が痒くなる
(p.32)
どこからそういう症状を思い付くのか謎ですが、リアルにそういう人がいるのでしょうか。物語中では加齢臭の成分に対するアレルギーということになっています。聞き込みとかで中年男と遭遇すると背中が痒くなるのでやってられません(笑)。しかし何で背中だけ…
ヴァンパイア探偵 --禁断の運命の血--
喜多 喜久 著
小学館文庫キャラブン!
ISBN: 978-4094066722