Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

キノの旅VIII the Beautiful World

今日は順序が乱れましたが、「キノの旅」の8巻から。

第一話「歴史のある国」は、師匠と弟子が塔に立てこもる話。アニメ化されています。きれいにまとまった話ですが、相手側にゴルゴ13がいたら負けていたかもしれません。2人vs大勢でドンパチやって2人が勝つというのは、いかにもフィクションで面白いです。

第四話「救われた国」は、宗教の話。

通りで疲れ果てた顔をした女の子がいたから、〝こう言うと気分がすっとするよ。私の国の祝詞だ〟っていい加減な呪文をでっち上げて教えた……
(p.102)

女の子がこれを信じて回復してしまいます。メンタルの問題なのです。そういうことは、日常でよくある話なのですが、これが広まって宗教になってしまうのです。そうなると、もう後には戻れません。

何かうまく行ったので信用する、というのは今の日本にもたくさんありますよね。どれとは言いませんが。

エピローグの「船の国」もアニメ化されています。シズと陸と一緒に旅をしているティーが出てくるエピソードです。

この国の国民は船に乗って生活していますが、その船がメンテされていないため非常に危険な状態で、このままではそのうち沈没してしまう。シズはそのことに気付き、

この国を砂浜に乗り上げ、沈まないようにする。その後、陸地の上での生活を国民に提案する。
(p.197)

というプランを考えて実行します。ところがその国民の選択が…という話です。長老のこの一言が全てを決めてしまいます。

今までずっと、しっかり浮かんでいたこの国が、沈むわけはなかろう。
(p.204)

日本人は特にこの宗教に弱いようです。今そうだから教。


キノの旅VIII the Beautiful World
時雨沢 恵一 著
黒星 紅白 イラスト
電撃文庫
ISBN: 978-4048666305