Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

理系の文章術

今日の本は更科功さんの「理系の文章術」。

この本の特徴は、読み易い、分かりやすい文章で書かれているということ。

文章術系の本は世にたくさんあるのだが、何が言いたいのかよく分からないような本もある。そんな本を読んでもいい文章が書けるような気がしない。しかし、この本は何か書けるような気がしてくる。

大江健三郎さんの文章が分かりにくい点についての評が面白い。

大江の文章がわかりにくいのは、大江が文章を書くのが下手だからではない。文章で表現するのが難しいことを、文章で表現しようとしているからだろう。
(p.27)

個人的には果たしてそうなかと思えたりもするのだが…、そこは今回は拘らないことにする。

どう書けば分かりやすい文章になるかは、具体的に指摘されているので、理解しやすい。例えば、

付加の接続表現の中で、最初に注意すべきものは「そして」だ。なぜなら、「そして」は典型的な付加の接続表現であるにもかかわらず、順接の接続表現と間違えやすいからだ。
(p.50)

のように理由コミで解説してくれるのである。そのあたりが理系っぽい。

他にも、音がきれいとか、表記が統一されているとか、具体的なポイントが出てくるから活用しやすい。理系というタイトル通り、ロジカルな文章の書き方についても詳しく書かれているので、一度読んでおいて損はないと思う。


理系の文章術 今日から役立つ科学ライティング入門
更科 功 著
ブルーバックス
ISBN: 978-4065195628