Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

カラフル

今日は森絵都さんの「カラフル」です。

いわゆる転生物、と言っていいのでしょうか。主人公は死んだ後に天使に出会い、抽選に当たって転生できる権利をgetしました。しかーし、

「せっかくだけど、辞退します」
「なぜですか」
「なんとなく」
(p.6)

ヤル気がありません(笑)。

とはいっても転生しないと話が始まらないから、天使に説得されて、小林真という、自殺して死んだばかりの中学3年の少年に生まれ変わることになります。

ゲーム転生系だと無敵キャラに生まれ変わったりしますが、この小説では、とんでもないヒドい家に転生することになります。家族がヒドいし、本人も自殺する位ですから結構酷い環境の中にいるわけです。その中でなぜか寄って来る桑原ひろか、佐野唱子の女子2人と、友達の早乙女くん。複雑に微妙に絡んだ人間関係をプレイしながら過ごすうちに、転生の期限が迫ってきます。期限内にミッションをクリアしないと死んでしまうのです。

フィクションにしてはやけにリアルで、どんな体験をしたらこのような小説が書けるのだろう、というのがとても気になります。ということで、恒例の、ちょっといい言葉を。

今日と明日はぜんぜんちがう。明日っていうのは今日の続きじゃないんだ
(p.217)

 

カラフル
森 絵都 著
文春文庫
ISBN: 978-4167741013