今日は7月23日に紹介した「コンビニたそがれ堂」シリーズから「奇跡の招待状」。
たそがれ堂は夕暮れどきにだけ必要な人にだけ現われる、謎のコンビニです。
たそがれどきは、魔界の扉が開くんだ。
(p.101)
ということで、この時間は危険なのです。交通事故も多いのでしたっけ。薄暗くて眼ではよく見えないという状況が、心の眼を開かせるのかもしれません。
2つ目の短編「人魚姫」のヒロインの真衣ちゃんは引きこもりで、ネトゲの世界の中では元気です。リアル世界をゲームの世界に見立てて復帰していくというストーリーが何となくリアルです。
途中出てくる、
『みずうみ』は、そこまで怖くなくてむしろ悲しいお話でしたが、でも死者が帰ってきて、夜ごとに砂の城を造ったりするような話で。
(p.122)
ブラッドベリですかね?
3作目の「魔法の振り子」。振り子というのはダウジングに使うペンデュラムのことです。ヒロインの薫子は大学の霊感倶楽部で莉子と出会います。使い方はそこで教えてもらったようです。ちなみに、このクラブ、
さすが『霊感倶楽部』。入ってくるの、幽霊部員ばっかり。
(p.168)
という状況で、大学卒業後に消滅したことになっています。成仏というべきか。
薫子は旅に出た薫を十年も待ち続けています。すぐに帰ってくるはずなのに、なぜか帰ってこないのです。ところで、ずっと待っている状態が幸せだという話が出てくるのですが、
「だって、わたしなら、幸せだもん。大好きな友だちが来るのを、ずっと待ってる毎日って、また来てくれる、また会えるって、信じ続けながら待つ日々って、きっと幸せだよ」
(p.177)
何となく分かります。希望がある、でも熱望ではない、という微妙な状態がバランスとしていいのかもしれません。クリスマスに幸せな気分になれるのは、
自分が幸せじゃないときでも、クリスマスの幸せそうな人を見てると、ほんわか、よかったな、って思うじゃない?
(p.206)
というのですが、考え方には通ずるものがありそうです。
コンビニたそがれ堂 奇跡の招待状
村山 早紀 著
こより イラスト
ポプラ文庫ピュアフル
ISBN: 978-4591114360