Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

貧しくても東大合格法

今日紹介するのは「貧しくても東大合格法」。いわゆる受験本、受験ノウハウが書かれた本だ。もちろん東大に特化した内容になっている。

2014年の本だが、東大の二次試験はそれほど傾向は変わらない傾向がある【謎】ので、参考になると思う。ただしセンター試験は大幅に傾向を変えて共通テストに変更されているので、そこの対策は考え直さなけれはいけない。また、後期日程は廃止されて推薦入学になっているので注意。

帯には独学受験の完全マニュアルと書かれている。東京大学は教育に金をかけてもらえる裕福な家庭の子供でないと行けないと思っている人がいるかもしれないが、低所得世帯からも毎年1~2割が合格しているのだ。塾にも行かず、公立の小中高に通ってどうやって東大に入るか、という視点で書かれている一冊だ。

一番問題になりそうなのが、授業とどう向き合うか。中高一貫の上位進学校は、高2が終わった時点で高校の全範囲が終わるようなペースで授業が進むという噂がある。実際はそこまで早くないらしいが、東大を狙う高校生は一つのマイルストーンになっている。しかし、普通の公立高校はそんなハイペースで授業は進まない。ではどうするか。

「学校の授業より早いペースで勉強を進めていき、授業では自分で学習した内容を復習する」
(p.25)

いわゆる先行学習だ。普通は予習(家庭)⇒授業(学校)⇒復習(家庭)、という順に勉強を進めるのだが、東大を狙うのなら先に独学してしまう。そうすることで、予習(家庭)・独学(家庭)⇒復習(学校)、というように、学校の授業を無駄にせず、授業よりも速いペースで勉強を進められるのだ。

なぜそんなに急ぐのかというと、いわゆる受験勉強、過去問対策の時間をできるだけ確保したいからである。入試問題を解くためには出題範囲をクリアしておきたい、ということだ。

授業の受け方については、

授業中は全神経を集中しなくてもいいでしょう。むしろ、常に集中というのは、あまり良くないと思います。
(p.26)

全集中は負荷が高いので、長期的な効率を考えると望ましくないのだ。先生も、生徒に集中力がないことは知っているから、全時間集中しないといけないような組み立て方はしない。また、授業を受けるときには、知っていることは軽く聞く程度でよく、知らない知識に全集中すればいい、というノウハウが出てくる。勉強ができる人ほど「わかっている」ことが多いので、勉強は楽になる。

また、トップ進学校は授業のペースだけでなく、何をすればいいか、どのような学習が必要かを学校で教わることができるが、普通の公立高校ではその種のアドバイスは期待できないので、

「東大受験にあたって、なにが必要なのか」「どのようなペースで進めればいいのか」といったことを自分でしっかり把握しておきましょう。
(p.32)

今はインターネットで情報がどんどん入ってくるから、把握しやすくなった。ただしウソ情報も増えたので、そこは注意が必要である。

さらには、授業を大切にしろ、基本を疎かにするな、参考書は絞り込め、のような普通にいわれているアドバイスが出てくる。単にこの参考書をやれという指示ではなく、受験するにあたっての受験哲学や思想、考え方が書いてあるので、それに沿って行動すればいいのだ。

なお、推奨の参考書や問題集も出てくるが、これらは少し古くなっているから、現状ではごく参考程度に考えておいた方がいいだろう。

模試に関して、

模試で必ずしも東大A判定やB判定を取っておく必要はない
(p.174)

これは、入試本番で得点を取ることがミッションなので、途中経過で下回っていても予定通りなら慌てる必要はないということだ。ドラゴン桜でも同じような話が出てきたと思うが、重要なのはゴールするためにはいつまでに何をやる必要があるのかを理解し、それを実行することなのである。


貧しくても東大合格法
独学受験を応援する東大生の会 著
データハウス
ISBN: 978-4781701769