Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

菜根譚 (12)

今日は菜根譚から「多心は禍のもと、小事は幸福のもと」。

福莫福於少事、禍莫禍於多心。唯苦事者、方知少事之為福、唯平心者、始知多心之為過。
(p.85)

福莫福於少事は分かりやすい。トラブルが少ない方が幸せである。確かに。その次の「禍莫禍於多心」がちょっと微妙。

また、災難は気持ちが多いことより災難なことはない。
(p.85)

これではよく分からない。気持ちが多いというのは、あれこれ思い悩むとか、考えすぎるような状況だろうか。幸福なときは、あれこれ悩んだりしないものである。

さて、面白いのはこの後である。事に苦しむ者だけがトラブルが少ないと幸せだということが分かる、というのだ。日頃から幸せだと、今がもう幸せだということに気付かない。さらに面白いのが、平心者(心が落ち着いている人)でないと、多心が禍(わざわい)だと分かるというところ。日頃からアタフタしているとアタフタしていることに気付かないってことか。困った困ったという人は結構困っているような気もするが。まあそういう話ではないような気もするが。


菜根譚
講談社学術文庫
中村 璋八 翻訳
石川 力山 翻訳
ISBN: 978-4061587427