Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

菜根譚 (11)

今日は菜根譚から「有為転変に流されず」。

毋憂払意、毋喜快心。毋恃久安、毋憚初難。
(p.243)

払意は思い通りにならないこと。うまく行かないからといって憂いてはならない。とわざわざ言うのは、大抵の人はうまく行かないとヘコむからだろう。まあそれは分かるとして、次の快心だ。これは払意と対になっていて、うまく行くこと。そのときに喜ぶなかれ、というのである。現代語訳は

やたらと喜んではいけない。
(p.243)

となっているが、そんなものではなく、単に淡々と「喜ぶな」というだけのことのように見える。ではなぜ喜んではいけないのか、その理由はここには出てこないから自分で考えるしかない。

後半は前半に比べてわかりやすい。久安は平安無事という現代語訳になっている。それを頼りにしてはいけない。危機も想定しておきなさいということだろうか。初難を憚ってはいけない。まあそうだろう、怖がっていては新しいものを生み出すことはできない。となると、やはり毋喜快心に若干の違和感というか、厳しすぎるような気がしてくる。

 

菜根譚
講談社学術文庫
中村 璋八 翻訳
石川 力山 翻訳
ISBN: 978-4061587427