Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

西遊記 中―完訳

今日は「西遊記」の続きで、中巻を読んでいます。この文庫本は、上中下の3巻に分冊されています。

この巻でよく知られている話は金角・銀角とのバトルです。アイテムは紅びょうたん。このひょうたんを持った相手に名前を呼ばれて、返事をしたら吸い込まれてしまうという恐ろしいアイテムです。孫悟空は銀角の持っている本物を偽物とすり替えて、本物を持って銀角の名を呼びます。

銀角大王やい!」
銀角がうっかり答える。たちまちすっと本物の紅びょうたんに吸い込まれた。
(p.112)

金角は同じように玉のみずさしに吸い込まれてしまいます。

このアイテムの面白いところは、名前と返事が対になって、両方マッチした時点で初めて機能が発動するところです。名前を知られると負けてしまう系のストーリーは日本も含めて世界中に見られるものですが、実体ではなく名前をキーにして機能が発動した結果、実体にまで影響が及ぶという間接参照が随分昔からあったわけです。

 

西遊記 中―完訳
呉 承恩 著
村上 知行 翻訳
現代教養文庫 922
ISBN: 978-4390109222