今日は雑記で以前ちらっとだけ紹介した「東大生の中学時代」を紹介してみます。
基本的に東大生へのアンケートを元に書かれている本です。雑記では、東大生は自宅以外の勉強を勉強時間に含めていない、という話を紹介しました。つまり、
塾や予備校の講義も彼らの考える〝勉強時間〟には入っていない。
(p.20)
ということなのですが、なぜこれがバレたかというと、アンケートでは勉強時間が1時間以内という人が約67%いたのに、塾や予備校に通っているかという質問には半数がYesと答えていた、とのことです。塾や予備校に行ってたら、そんなに短いわけはないだろう、というのです。
普通の高校生に1日に何時間勉強しているかを質問したら、学校の勉強時間はカウントしないのが普通でしょう。本では、東大生は塾や予備校を学校の延長とみなしているのではないか、と推測しています。
勉強が楽しいという東大生も多いという結果が出ています。勉強が楽しいと、
興味を持っているので熱中できる→よりわかるようになり、楽しくなる→さらに打ち込むようになる→理解が深まり、いよいよ楽しくなる……。これこそ、勉強における理想的な展開といえよう。
(p.26)
しかし実際にありがちなのが負のスパイラルです。興味がないので勉強しない→分からなくなる、面白くない→さらにやる気がなくなる→興味がない、というシナリオです。
勉強の何が楽しいのかというと、東大生に共通しているのは、ドラゴン桜にも出てきたように「なぜ」を考えて、どんな教科も面白いと思う、好奇心旺盛なところ。考えて正解を導くのは面白いものなのです。例えば、
理科、社会といった教科は、興味があって初めて伸びる科目だと思っていたので、とにかく教科書や資料集をよく読んだ。
(p.29)
ここまではありがちなきっかけに過ぎませんが、さらに続いて、
その上で「どうしてこうなるんだろう」と、細かなことでもなるべく疑問を持つようにし、そこから興味を惹きたてるようにした。
(p.29)
このように一歩先に進めるか、というのが運命の分かれ目かもしれません。
そんなに勉強ばかりして消耗しないのか、という疑問があるかもしれませんが、実は長時間勉強するのは、案外楽なものです。授業を聞く時に、こんなコツがあります。
気合いを入れて聞く部分と、ある程度力を抜いて何となく流す部分といった具合に、同じ授業のなかで集中力をバランスよく分散させるようにしていた。
(p.42)
長時間集中し続けるのではなく、集中とリラックスをうまく組み合わせて疲れないように工夫します。授業なんか何が面白いの、という声も聞こえてきそうですが、私は授業にかなり集中していたので分かります。授業を観察していると、テストに出るところが分かることがあります。
例えば、声の大きさやチョークの色など、それぞれの先生が示す〝重要なことを言っているぞ〟というサインをつかむようにしました。
(p.42)
ちょっといつもと違うぞ、みたいな箇所があるのです。それを意識して授業を受けるのは、推理小説を読んでいるような感覚です。
集中力といえば、東大生は集中できるというのが定説ですが、静寂なところより自習室の方が捗るという人がいます。
まず、みんな頑張っているという環境がいい。それから、ちょっとざわざわしているぐらいの方が、かえって集中力が増すんですよ。
(p.51)
リビング勉強法は東大生に多いと雑誌で話題になったりしたので、今では定番かもしれません。
居間で勉強するのが、一番はかどりました。それも、よくテレビを点けっぱなしにして勉強していましたね。気が散るなんてことは全然ありませんでしたよ。たまに親がテレビを消すと、逆に集中力が持たなかった。
(p.52)
私の世代だと、深夜ラジオを聞きながら勉強というのが、いわゆるスタンダードスタイルだったのではないかと思います。
現代は学歴分断社会、つまり親の学歴が子に影響するという分析もありますが、もちろん完全に学歴が制限・固定されているのではなく、例外もあります。両親が高卒で東大に合格した人がいます。
父親は、地方の高校を卒業して農業に従事。母親は高校卒業後、すぐに嫁いだという。両親共に勉強とはあまり縁のない生活を送ってきた。
(p.117)
この人は特に勉強しろとか言われたわけではないようですが、本人はこんなことを。
「塾にも通っていなかったし、これといった特別な勉強もしていなかったんですけどね(笑)。やったことといえば、学校の授業をしっかり聞いて、教科書の内容はきちんと理解するようにしていただけ」
(p.118)
その「きちんと理解する」が途方もなく難しいのですけどね。
東大生の中学時代
東大家庭教師友の会 著, 編集
ISBN: 978-4569770215