Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

妖怪談義

今日は柳田国男さんの「妖怪談義」。約30の短編が入った、妖怪紹介本です。ジャンルとしては民俗学ですね。

妖怪が民族学の対象なのかというのはよくわかりませんが、妖怪が各土地に密接に関わっていることは確かで、さらに文化にも影響を与えています。「かはたれ時」では、「君の名は。」に出てきた黄昏の話が出てきます。

例えばタソガレは「誰そ彼は」であり、カハタレは「彼は誰」であった。
(p.36)

他に「タチアイ」(立ち会うということか?)、「マジミ」(真面に見る?)、「メソメソドキ」「ケソメキ」のような言葉が紹介されています。名古屋の「ウソウソ」というのも面白い表現ですね。

「小豆洗い」のところでは、

なにゆえに音もいろいろあろうのに、小豆を洗う音ばかり聴き取るのが例であったかという疑
(p.104)

確かに、大豆洗いでも米研ぎでもよさそうな気がしますね。

「ひだる神のこと」では、「大和の宇陀郡室生寺の参詣路、仏隆寺阪の北表登り路中程」が、

今でも食物を持たずに腹をへらして通ると、ヒダル神が取り憑いて一足も動けなくなる難所
(p.115)

だと紹介されています。ダルは3月3日に紹介した「桜大の不思議の森」にも出てきましたね。


妖怪談義
柳田 國男 著
講談社学術文庫
ISBN: 978-4061581357