Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

黄金虫・アッシャー家の崩壊 他九篇 (2)

今日は朝からドタバタしていて、本を読む暇もなかったですけど、先日図書館から借りてきたポオの文庫本に入っている作品を2つ紹介してみようと思います。

ちなみに、この本には「黄金虫」と「アッシャー家の崩壊」という超メジャーな作品も入っていますが、これは有名すぎるので紹介する必要がないでしょう。どうでもいい話っぽいですが、ポーじゃなくてポオなんですね。私の記憶ではポーなんですが。

1つ目は「群衆の人」。

語り手はとある喫茶店から外の群衆を眺めています。そういえば、昔、私、渋谷のカフェで窓際の席に座って、外を歩く女子校生とか watching していたことがありましたが。この作品では、とある人物が現われます。

私は窓ガラスに額を押しあて、群衆の観察にいそしんでいるうちに、ふとひとつの顔が(年の頃は六十五か七十ぐらいの老いぼれの顔が)――ふと私の視界に飛び込んできて、
(p.213)

そして、店を飛び出して、この男を丸一日尾行するという話です。ところが、この男が一体何をしているのか、何をしたいのかが分からないのです。読者は推理に付き合わされるわけです。

もう一作は「アモンティラードの酒樽」です。アモンティラードというのはスペインのお酒の名前です。

フォルトゥナートの数々の無礼は大目に見てきたが、侮辱となれば話は別で、私は復讐を誓った。
(p.343)

てなわけでフォルトナートに復讐する話なのですが、途中に出てくる家紋がなかなかいい感じです。

紺の地に巨大な黄金の人間の足が描かれ、その足が鎌首をもたげる蛇を踏みつけ、その蛇の牙が踵(かかと)に食い込んでいる図柄
(p.349)

踏まれた蛇が復讐中、って訳ですな。

 

黄金虫・アッシャー家の崩壊 他九篇
ポオ 著
八木 敏雄 翻訳
岩波文庫
ISBN: 978-4003230633