Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

幸腹な百貨店 デパ地下おにぎり騒動

今日は「幸腹な百貨店 デパ地下おにぎり騒動」。シリーズ2作目。

誠に勝手ながら、十一月末日をもって営業を終了させていただきました。
(p.7)

いきなりこんな張り紙で始まるから百貨店が潰れたのかと思いましたが、これは別の店の話。肉豆腐が美味い店です。とはいえ、今回も堀内百貨店はピンチで、飲食部門にテコ入れすることになります。

茶店のマスターの新田は、こんなことを言います。

専門店として客を惹き付けるなにかが必要。でも、そのなにかは不明。
(p.53)

どの店にもありそうな最優先課題ですね。新田はいろいろ工夫してコーヒーを出そうとするのですが決定打にならないようで、工夫をすると今までに満足していた客には不興だったりするのでややこしい。

さて、今回はタイトルにもありますが、おにぎり屋の話です。がんこオヤジのいる「米よし」と、おばあさんが作る「おかず屋はる」です。実は米よしは「おかず屋はる」の息子がやっている店なので、おにぎりはそっくりのものが出てくるのですが、お惣菜や売り方にこだわりがあるわけですね。

そういえば近所におにぎりを売っている米屋があります。周囲の店が次々と閉店する中、とうとう最後の店になりそうな感じですが、小売店というのはどこも厳しい状況なのでしょうか。

この「おかず屋はる」が百貨店に進出するのですが、「おかず屋はる」の清司が、新規オープンのフードコートを立ち上げるときにリーダーとして大活躍します。

「卒業後、ずっと都市計画とは無縁の場所にいたから、一生机上の空論で終わると思っていたけど、使う機会があってよかった。
(p.336)

都市計画のノウハウがフードコートの店舗配置に活かせたとか、大学で学んだ知識が思わぬところで役に立ったわけですね。応用力というのは重要なのです。


幸腹な百貨店 デパ地下おにぎり騒動
秋川 滝美 著
講談社文庫