Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

子どもの才能は3歳、7歳、10歳で決まる!―脳を鍛える10の方法

今日は新書で、「子どもの才能は3歳、7歳、10歳で決まる!―脳を鍛える10の方法」。

幼児教育という言葉もあるが、この本は教育というよりも、脳の性能という意味での「才能」をupするにはどうすればいいか、といったテーマに即した本。具体的に何をすればいい、何はいけない、という話が出てくるので、これから子育てする人には役に立つかもしれない。

才能は遺伝で決まっているだろう、と思っている人もいるかもしれないが、

確かに、「生まれつきの才能」というものがあるのは間違いありません。しかし、才能は環境によって変化するものなのです。
(p.50)

遺伝子そのものは変わらないが、遺伝子がどのように作用するかは環境によって変わることが科学的に分かっている。物を学ぶ基本能力のようなものは誰でも持っているから、あとは環境でどれだけ強化するかという話になるのだ。

何をするといいとか、しないのがいい、という具体例としては、例えば当たり前の話だと思うのだが、10歳になったら、

子どもには絶対に「勉強しなさい!」と言わないこと
(p.144)

勉強しろと言われてやる気をなくした、という経験のある人は大勢いると思う。それが親になったら子どもに「勉強しろ」と言うから不思議なものだ。なぜ言ってはいけないかというと、脳の発達にともなって自己報酬神経群の働きが活発になり、指示に対する拒絶反応が起こるためという。もっと低い年齢だと、勉強しなさいと言えば素直に勉強するから、言っても大丈夫なのである。

コツコツは危険という話も出てくる。

子どもには、「コツコツ努力しよう」ではなく、「目標を決めて、全力投球で一気に達成を目指そう」と教えるべきなのです。
(p.59)

一般的には、コツコツやるのがいいと言われているが、それはそれで悪くはないが、コツコツの場合、途中で疑心暗鬼になりがちだという理由なのだ。

ところで、Yahoo!知恵袋でよく「勉強しても全然成績が上がらない」という質問があるのだが、そのような質問への回答によく使うパターンがある。「白紙のノートを用意して、今日一日勉強したことを教科書も参考書も何も見ないで、そこに書いてみなさい。そこに書けたのが、あなたが今日一日勉強したことの全てです」というのだが、やった日の夜に覚えていないようなことは勉強ではないという話だ。その日のまとめは確認や復習にもなるので、一石多鳥レベルの勉強法だと思うのだが。

これに似た話がある。クラスを成績がいい生徒と成績が悪い生徒に分けて、

成績がふるわない子どものクラスは授業を45分に短縮しました。そして、授業後の5分間を、その日学んだことを書く時間に充てたのです。
(p.117)

このクラス、最初は全く書けなかったが、徐々に改善されて、最終的に成績が良いクラスを上回る結果が出るようになったという。最後に学んだことを書くためには、書けるような勉強・暗記をしなければならないから、何をやったか考えるというのも記憶の定着に効果的なのだろう。

教科書をノートにまとめるのは写経であって、勉強ではない、という意見もある。一理あるのだが、教科書を見ないでノートにまとめるのなら、それは効率的な勉強になるのだ。

勉強法としては、なりきり勉強法というのが面白い。

「理解したいもの、覚えたいものそのものになりきる」
(p.156)

これだけではイメージできないかもしれないが、

たとえば遺伝子について勉強する場合は、自分自身が遺伝子になったとイメージし、そのしくみや働きを頭の中で自分のこととして〝体験〟するのです。
(p.156)

遺伝子になれというのは結構難しいような気がするが、擬人化すればそうでもないか。


子どもの才能は3歳、7歳、10歳で決まる!―脳を鍛える10の方法
林 成之 著
幻冬舎新書
ISBN: 978-4344981997