今日は「いなくなれ、群青」。階段島シリーズ。ある日突然、知らない場所にいる、みたいな話です。ここはどこ。
主人公は七草。早朝に散歩していると、真辺由宇という、昔馴染みの少女に出会います。この二人の行動で話が進んでいくのですが、今回はストーリー全体が謎解きのようになっているので、本筋ではなく気になった言葉だけ紹介していきます。っていつものパターンだなおい。
冒頭では「100万回生きた猫」と呼ばれている人が出てきます。本名ではなくハンドルネーム名【謎】ですが、ちなみに絵本のタイトルは「100万回生きたねこ」です。
飼い猫は愛されるのが仕事なんだよ。なんでも仕事になると、疲れちゃうんだ。
(p.10)
100万回生きた「ねこ」は、100万回飼われたんですよね。ちなみに私はプログラム書いているときはそれほど疲れた感じがしませんが、後でドッと来ます。
次は、配電塔を管理している中田さんの言葉。
「それはお前が本物の暇を知らないからだ。暇と休息の違いを知っているか?」
(p.147)
暇というのはサーバーが稼働率0%で命令を待っているような状態のことですね。休息はスリープです。「暇」の場合は1時間1ドルみたいなCPU料金がガンガン加算されていきますが、「スリープ」になっていれば課金は節約できます。なので私みたいな微細企業の開発者は、開発コストを節約するために、処理の直前にサーバーを起こして、処理したらすぐに寝かせます。
次の言葉は、誰が言ったか分からない(笑)という設定で出てきます。
大いなる悲観主義は、大いなる楽観主義に通じる。
(p.163)
いと高きところといと低きところは同じなり、と言ったのは沢庵和尚ですね。
100万回生きた猫、の言葉。
本当に尋ねるべき質問はこうだ。――
これがなかなか面白い質問なので、私が問われたと想定して答えてみます。一体何で尋ねるべきなのか分かりませんけど。
貴方が最後に、影をまじまじとみたのはいつですか?
(p.175)
数十年生きていますが、まだ一度も経験がないですね。未体験なので最後はありません。
ただ、影がないのをまじまじと見たことは一度あります。渋谷です。左側から光が当たっているので右に影が出来ているはずなのに、影がないのです。私は吸血鬼だったのか。
爪切りを買うときの判断基準はなんですか?
(p.175)
爪が切れることです。爪が切れない爪切りほどイライラするものはありませんからね。ちなみに今使っている爪切りは、音もせずに爪を斬ります。名刀のようです。なお、同じ性能の爪切りが複数あって選択する場合は、やすりの性能で選びます。うまくけずれないヤスリほどイライラするものはありませんからね。ちなみにヤスリは鑢と書くのですが、知ってました?
好きな星はなんですか?
(p.175)
七草と真辺はいいコンビのようです。
「七草は私のことを馬鹿だと思っているのかもしれないけれど」
「うん。まあ、そうだね」
(p.270)
こういうセリフが結構出てきて、お互いズレているのに納得しているのが謎ですね。
ということで、最後に、七草の言葉。
「初めから、答えはわかっていました」
(p.261)
忘却探偵。
いなくなれ、群青
河野 裕 著
越島 はぐ イラスト
新潮文庫nex
ISBN: 978-4101800042