Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

働かないの―れんげ荘物語

今日は、昨日紹介した「れんげ荘」の続編で「働かないの」。キョウコさんが四十八歳になっている。

東北の大地震ネタが入っている。れんげ荘は地震で倒壊するかと思いきや、何とか倒れずに持ちこたえた。

忘れるのよ。間違えたことを忘れて、これでいいんだって思えば、問題ないわよ。
(p.50)

刺繍をミスったおばさん達の会話なんだけど、なかなか奥深いものがある。キョウコさんはそれを見て刺繍に目覚めます。ていうか目覚めかけて手を出して不完全っぽいストーリーなのだ。刺繍を始めると手がぶるぶる震えるというのがリアルで怖い。よく見えないので拡大鏡を使ってみると、

大きくよく見えても、指先のぶるぶるは止まらない
(p.93)

ガクブルですなぁ。

今回は、お隣にチユキさんという背の高い女性が引越してくる。チユキさん、実はマンションを持っているのだが、そこで暮らすのがイヤだといって、築50年の古アパートに越してくる。なかなか風流なものだ。

ところでキョウコさん、退社の理由に我慢の限界というのがあったが、以前の職場を思い出して、自分のミスを他人のせいにする人達のことを考えるシーンがある。

きっと彼らは自分に降りかかった非難の原因を、全部他人のせいにするからストレスも溜まらないはずなのだ。
(p.103)

ミスを誤魔化すようなことをしていると、むしろストレスが溜まりそうな気もするが、ま、気にしない。


働かないの―れんげ荘物語
群 ようこ 著
ハルキ文庫
ISBN: 978-4758439374