今日の時点でまだ読了していないのですが、多分読了できないので紹介してしまいます。「ワサビのすべて」。図書館で借りて読んでいるのですが、この本、Amazonだと中古で1万円するんですね。
すべてというのは大げさじゃないかと思っていたのですが、ワサビの種類、歴史から栽培方法、生産量といった社会的分析から、成分の化学的分析や効能まで、多岐の話題を網羅した、本当にワサビの全てが出ている本です。
一般にワサビと呼ばれている植物は、沢ワサビで、
沢ワサビは原産地が日本列島およびロシアのサハリンとされ、アブラナ科に属する多年生植物
(p.8)
沢ワサビ以外に、畑ワサビ(陸ワサビ)という種類もあって、
沢ワサビに比較して栽培は容易であるが、品質が劣り、取り引き価格も安い。
(p.1)
のだそうです。
日本では昔からワサビが使われていて、文献として残っているのは
8世紀初めに成立したといわれる「播磨国風土記」(713年より3年以内)や「養老律令」(通説718年)に「山薑」の文字がみえる。
(p.21)
だということですが、おそらくそれより千年以上前から使われていたんじゃないでしょうか。勘だけど。こんな植物があったら使わないわけがないよね。
in vitro で、6-MSITCには抗がん剤マイトマイシンCにまさる強い細胞増殖阻害活性が認められた。
(p.116)
とか書かれても何のことかサッパリ分かりません(^^;)。ちなみにワサビの辛味成分はアリルイソチオシアネート(AITC)で、
AITCははじめから沢ワサビ中に存在するのではなく、すりおろすという操作により発生する。
(p.57)
ということで、この後何と何がどうなってこうなんだ的な学術的解説が延々と続いていくので、化学を専門としている人だと興味津々なのではと思います。図や写真も多く、
図7-3 沢ワサビによる抗カビ効果
(p.96)
のような写真は、こんなに効果あるの、というのが一目瞭然。抗がん性、抗酸化活性、抗ピロリ菌作用など、何かすごい雰囲気が伝わってきますね。抗酸化活性の活性酸素の項など、
地球の誕生は46億年前といわれる。
(p.130)
とか書かれると、それがワサビと一体何の関係が…とか思いませんか(笑)。
ワサビのすべて―日本古来の香辛料を科学する
木苗 直秀 著
古郡 三千代 著
小嶋 操 著
学会出版センター
ISBN: 978-4762230493