今日は「雪のマズルカ」。先日紹介した「猫とアリス」の笹野里子探偵が出てくるシリーズの一冊目です。4つの短編が入っています。ちなみにこの本、以前は「ハート・オブ・スティール」という名前だったそうです。何でタイトル変えたんですかね。
1つ目の話が本のタイトルになっている「雪のマズルカ」です。
仕事の依頼の電話がかかってくるのですが、どうも怪しいので断って切ってしまいます。同じ人からまたすぐにかかってきて、
「ぜひお願いします」
「どちらへおかけですか」
「先生。わたしくのものの言い方が悪かったのなら謝ります」
「謝ってください」
「すみませんでした。
(p.13)
本当にこういう会話は成立するんですかね。笹野の会話はクライアントに全く媚びないというか、最初から仕事を取る気がないから、完全にバカにしている感じなので、面白いです。
この世も末だと言われたら、
「今の世は末世だと千年以上前から言ってるわ」
(p.45)
キリスト教だと「神の国は近付いた」とか約二千年前から言ってますよね。
2作目の「氷の炎」は、凍野もえ、という女優が出てきます。もえちゃんが出演するドラマなんですが、
このドラマの中のドラマ――つまり劇中劇において、もえは新進の天才ピアニストだ。病を押してモーツァルトのピアノ・コンチェルト二十四番を演奏する。そして弾きおえてピアノの脇に立ち、観客のスタンディング・オベーションに応えようとしたとき、意識を失う。
(p.85)
こういうドラマありましたよね、元ネタが思い出せない。確かモーツァルトじゃなくてショパンだったような気がしますが。
3作目の「アウト・オブ・ノーウェア」は、こんな感じで、
「え、ほんとだよ」
うそだと確信した。
(p.140)
ほんとだというのは大抵ウソのときですよね。しかし、本当だと何と答えればいいのでしょうね?
4作目「「ショウダウン」の会話。
「繁村にご主人がそうおっしゃったのですから」
「どういうこと? 主人は三年前に死んだのよ」
「もちろん、亡くなる前です。
(p.204)
おかんがモナカちゃう言うてる…レベルのアホな会話ですね。