Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

半沢直樹 1 オレたちバブル入行組

ストーリーは説明しなくてもドラマでご存知ですよね。ていうか私は全然知らないんだけど(笑)、なぜかモーニングでマンガの連載が始まりました。1巻を読んだ感じでは展開のテンポが速すぎるので説明できません。

半沢直樹といえば、倍返し。

オレは基本的に性善説だ。相手が善意であり、好意を見せるのであれば、誠心誠意それにこたえる。だが、やられたらやり返す。泣き寝入りはしない。十倍返しだ。そして――潰す。二度とはい上がれないように。
(p.321)

これで有名ですね。お互い倍倍プッシュしていくといずれ破綻しますけど。破綻といえば、このストーリーは破綻した企業の債権回収がネタです。よくあるアレですね。

そもそも不渡りというのは手形を振り出している会社だけがなるものであって、現金商売しかしていない会社に不渡りはない。
(p.99)

ちなみに弊社がそうですね。倒産する金もない。

銀行員なんて超安定のイメージかもしれませんが、この小説だと全く逆のイメージで、下克上というか騙し合いのとっても面白そうなワールドが展開していきます。キャラの立場としてはたまったものではありません。

「結局、オレたち銀行員の人生ってのは、最初は金メッキ、それがだんだんと剥がれて地金が出、最後は錆び付いていくだけのことかもしれない」
(p.316)

苅田の言葉。半沢は慶應の同期の仲間、苅田、渡真利、近藤とよく飲みに行きます。それぞれのキャラを紹介しておくと、

苅田

司法試験の短答に合格している秀才
(p.20)

渡真利

有名ゼミのゼミ長で、半沢とは顔馴染み
(p.20)

近藤

業務部長の後輩
(p.20)

こんな感じの面子です。飲みながらグチグチ言っているのが結構危機感があって面白い。しかし本当に飲みながらあんな話をしたら、誰かに聞かれてしまうのでは。案外、壁には耳がありますよ。

個人的にこの話で気に入ったのは、竹下金属社長の竹下はん。この人はオモロイです。半沢と手を組んで敵を追い詰めていく役なのですが、こういうキャラは絶対に敵にまわしたくないです。


半沢直樹 1 オレたちバブル入行組
池井戸 潤 著
講談社文庫
ISBN: 978-4065170823