Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

掟上今日子の挑戦状

今日は忘却探偵シリーズから、「掟上今日子の挑戦状」。3つの短編が入っています。

1作目。風呂場でドライヤーが落ちていて感電死、という意外と古典的な殺人事件です。容疑者は本来鉄壁のアリバイがあるのですが、その証人に選ばれたのが今日子さんで、寝たら忘れてしまったので証言してもらえないという想定外の展開になってしまうのです。

で、ストーリーとは微妙に関係ないところで、

本を読んで、教訓を得ようとか、学ぼうとか、この先に生かそうとか、そんな風に構えることはないんですよ。国語の授業じゃないんですから
(p.92)

しかし、そんなこと思わなくても勝手に教訓が得られて学べて、生活に生かしてしまう、それが読書の醍醐味だと思うわけです。

2作目は、「掟上今日子の密室講義」

犯行を認めるだけでなく、屋根井刺子を殺すに至った動機まで、あますことなく自白した
(p.206)

その動機が分からないんですけど。最後まで。何で殺したの? 誰か教えて。

3作目は、「掟上今日子の暗号表」。

傍線部の作者の気持ちを答えよ、という問題について、試験を受けた作者も答えられない
(p.216)

これは入試あるあるですよね。ていうか作者の気持ちって何でもアリだから、答えられないわけないじゃないですか。正解できないだけで。

発表してしまった時点で、小説の解釈は基本的に読者に委ねられているものである。
(p.216)

基本的じゃなくて全面的ですね。解釈の自由は保証されているのです。


掟上今日子の挑戦状
西尾 維新 著
VOFAN
講談社
ISBN: 978-4062197120